研究課題/領域番号 |
17K04827
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
寺西 大 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (50237004)
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研究分担者 |
松本 慎平 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (30455183)
竹野 英敏 広島工業大学, 情報学部, 教授 (80344828)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 技能学習 / VR / AR / 個人特徴 / 機械学習 / SOM |
研究実績の概要 |
(接触計測型技能学習システムの基本機能の設計と開発) 本年度はシステムの基本機能を、つぎのような方針で設計・開発した。技能学習システムを、入力(モニタリング)、システム内部処理・分析・戦略選択、出力(フィードバック)という単純構造で捉える。入力系機能を必須とし、フィードバックとして様々な工夫を凝らし、外在する目標達成に主眼を置いたアプローチの中で技能学習が試みられるとの指摘に基づき、これを踏まえ機能を設計した。まず入力系機能の実装と検証として、接触型モーションセンサデバイスを用いた技能訓練支援システムには力覚フィードバック装置を使用し、エンコーダスタイラス部に工具を取り付けた。平面仕上げのための鉄工やすりがけの技能学習を題材とした実験結果から、本装置の計測精度は、中学生を対象としたシステムであり、後述の学習方法の特徴を得るには十分な計測精度であることが確認された。 また、これにつづく「VR/ARによる形式知と暗黙知の提示・学習方法」につなぐための暗黙知の提示方法として、学習者の「クセ」を表わす個人特徴として、やすりがけ主方向における速度変化を特徴量として抽出し、熟練者のそれとの差分を提示することで、学習者がクセに気付きやすくなるよう工夫した。さらに、この特徴量を自己組織化特徴マップ(SOM)と自動クラスタリングの組合せにて自動分類することで、学習者集団のクセの典型パターンを大分類でき、指導者が集団の傾向を把握しやすいように工夫した。 (システムの低コスト実現手法の開発・効果試験) システムの基本機能の確立と並行して、工具の動作を計測する高価な接触型力覚フィードバック装置を、低価格な非接触型モーションセンサデバイスに置き換えてシステムの低コスト化を図るための準備を開始した。現行の非接触型モーションセンサデバイスについて、その使用環境を整えて、基本性能の計測を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実施計画に挙げた(接触計測型技能学習システムの基本機能の設計と開発)について、その大部分が実施できた。しかしながら、(VR/ARによる形式知と暗黙知の提示・学習方法についての検討)については、暗黙知の提示については着手できたが、VR/ARによる提示方法については未着手のままとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
(VR/ARによる形式知と暗黙知の提示・学習方法についての検討) 工具を操作する手元とその効果を仮想提示するディスプレイを交互に見るというのは現実的ではないため、仮想提示にはヘッドマウントVRディスプレイ(HMD)の利用を想定している。HMDに搭載したカメラにより仮想と現実を重畳表示し、実際に加工しているかのように見せることを目標とする。 (VR/ARによる形式知と暗黙知の提示・学習方法についての検討) 本年度での形式知と暗黙知の提示・学習方法についての情報処理的検討をもとに、適切な暗黙知の抽出計算・提示のために汎用GPU(GPGPU)ワークステーションを導入する。 (システムの低コスト実現手法の開発・効果試験) 上記のようにシステムの基本機能を確立したら、工具の動作を計測する高価な接触型力覚フィードバック装置を、低価格な非接触型モーションセンサデバイスに置き換えてシステムの低コスト化を図る。非接触型モーションセンサデバイスは、赤外線照射で指や工具の動きを捉えることができる反面、対象物の反射特性など計測精度の低下が懸念される。この問題を克服するために、工具取り付けなどの装置面での工夫と、接触型装置との同時計測によるキャリブレーションなどの工夫をして、接触型装置と同程度の計測精度を維持する。また、VR/AR 表示に用いるHMDは、装着者の視界が外界と遮断されるため、転倒や衝突などの危険性が考えられる。システム完成段階では、これらHMDを、外界が視認できる眼鏡型表示装置に置き換えることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:本年度購入した、非接触型モーションセンサデバイスについては、研究計画時よりも多種類の検討が必要となり、それらを購入するべく研究計画を変更した。その購入予算は、当初購入予定であった接触計測装置の3次元スタイラス装置の購入費用の一部を宛てた。購入予算が不足したため、3次元スタイラスの購入を本年度は見送った。そのため、これらの差額として次年度使用額が生じた。
使用計画:次年度使用額の全額は、本年度購入予定であった、3次元スタイラス装置の代金の一部として充当する予定である。
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