研究課題/領域番号 |
17K04828
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
高木 正史 別府大学, 国際経営学部, 教授 (00352419)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 商業科 / 専門学科 / 教員養成 / 教職課程 |
研究実績の概要 |
高等学校の教育を考えた場合,普通科のみならず専門学科の果たしている役割は大きい。そのような専門学科の教員養成に関しては,議論を展開すべき論点は多い。専門学科の中でも本研究課題と関連するものは「商業」であり,本研究課題では,「商業」に関する教員養成を扱っている。研究代表者の本研究課題の遂行のためには,研究代表者が在住する九州における商業科教員養成の実態を把握することは重要である。 このようなことから,2019年度は,北部九州4県(福岡県,大分県,佐賀県,長崎県)における「商業」の教員養成を行う大学・大学院での免許取得者数と,当該4県における教員採用試験合格者数(公立)の状況調査を実施した。具体的には,まず,「商業」の免許状(普通,専修)を取得できる大学における学科・コース,専攻科,大学院における研究科・専攻を抽出した(本研究では,抽出された免許を取得できる最小単位のことを研究代表者はTU(Teaching Unit)と称している)。そのうえで,2016年度・2017年度・2018年度における商業免許交付状況をTUごとに調査した。さらに,当該4県における教員採用試験の2017年度・2018年度・2019年度採用予定教員採用試験合格者数を調査した(公立高校のみ)。これらの調査は,情報がインターネットで公開されている場合にはこれを参照し,公開されていない場合には,電話やメールにて大学や各県担当者に問い合わせることで実施した。 これらの調査結果については,日本教師教育学会第29回研究大会(岡山大学)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度については,我が国の中でも北部九州4県(福岡県,大分県,佐賀県,長崎県)における各大学等の「商業」免許の取得状況と教員採用試験の状況を調査した。これは,商業科教員養成の諸問題を明らかにするうえで,前提的な作業であるといえる。しかし,これまでの研究期間における研究全体が大幅に時間がかかっているということが現状であり,そのため,2019年度の調査もより早期において実施することはできたであろうが,研究の遅延により,結果として2019年度に実施することになった。さらには,2019年度においてはアンケート調査に基づく「商業」教育の実態調査を実施する予定であったが,現時点ではまだ未実施である。 そのため,研究の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は研究の遂行に必要な先行研究のレビューを継続しながら,主として2つの点について研究を進めたい。 まず第一に,「商業」に属する科目を教えてきた教員が,これまで効果的な教育を実施してきたかどうか,という点を,大学生に対するアンケート調査を実施することで,明らかにしてきたい。確かに現職教員に対するダイレクトなアンケート調査もこのことを明らかにするうえで有用であろうが,同時に,それら教員の教育を受けた当事者たる大学生(最近まで高校生であった大学生)の教育経験に基づいて「商業科」教育の有用性を測定することも必要であると考えている。アンケート調査は,現在のところ,研究代表者の所属する別府大学国際経営学部の1年生および2年生を予定している。それにより,「普通科」などとの対比において,「専門学科」の中でも「商業科」や,「商業科」以外の学科において商業に関する科目を学習した学生の教育経験を分析し,当該学生が受けて来た商業科教育の有用性の程度を明らかにしていきたい。なお,本研究における各種のアンケート調査は紙媒体での実施を予定していたが,新型コロナウイルス感染症の影響から,研究代表者の所属する別府大学では2020年5月現在ではオンライン授業が行われていることもあり,当面は紙媒体では実施できない。そのため,Webでの実施を検討している。 次に第二に,特色ある授業を行っている高等学校における商業科の科目を担当する教員へのインタビュー調査を実施したい。これも新型コロナウイルス感染症の影響で実施が遅れる可能性があるが,複数の特色ある授業への取り組み実践(とくに会計分野に属する科目教育実践)を展開する教員へのインタビュー調査を実施したうえで,それら教員における共通的な授業実践に対する有用性の要素を導きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は物品費として,未購入・未収集の書籍や論文を揃えることができなかった。2020年度はこれを揃え,先行研究の蓄積という意味から書籍や論文のさらなる充実を図っていきたい。なお,アンケート調査に関する支出も予定していたが,2019年度にはアンケート調査を実施することができなかった。このことも次年度使用額が生じた理由としてあげられる。ただし,2020年度に予定しているアンケート調査については,Webなどを利用した,できるだけコストがかからずかつ有効性のあるであろう手法に変更することを検討している。
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