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2017 年度 実施状況報告書

英語学習に難しさをもつ学習者支援-音韻符号化能力養成の観点から

研究課題

研究課題/領域番号 17K04832
研究機関群馬大学

研究代表者

飯島 睦美  群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 准教授 (80280436)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード英語学習 / つまずき / 音韻意識 / 音韻符号化 / 言語処理過程 / 情報処理過程
研究実績の概要

本研究では、以下4つの目的を掲げている。目的1:英語を不得意とする学習者の英語力と音韻符号化能力の関係を観察し,目的2:フォニックスの効果とローマ字学習の効果を考察し,目的3:英語学習に困難を感じる学習者にとって,これらの功罪を議論し,目的4:英語学習に困難を感じる学習者のための音韻符号化能力養成方法を構築する.
平成29年度には、目的1である「英語を不得意とする学習者の英語力と音韻符号化能力の関係を観察する」ことを達成するために,①先行研究で行われてきた音韻認識力,音韻符号化能力を測定する方法を全て検討し,②母国語である日本語と外国語である英語の両方を対象とした音韻認識力,音韻符号化能力を測れる方法を構築し,③調査を行い,データの収集を行い,④英語成績との関係を議論することを計画してきた。
①である音韻認識力、音韻符号化力を測る既存のテストについては、大変完成度の高いものが多くあり、それぞれがその理論と妥当性が強調されている。英語教育という枠組みの中での効用性から鑑みると、英語学習につまずく要因としての音韻認識力や音声符号化の弱さが観察されることが第一義である。これまでに実施した中学生から高校生、大学生までの音韻認識能力調査をもとに,英語成績との関係を分析した。文字と音の同定ができていない、不安定な場合、簡潔に言って、言語処理過程が進まない。その結果、言語として認知されないことから情報処理過程も進まない。この重要な最初の過程に大きな影響をもたらすのが音韻意識である。
また、音韻認識能力を高める指導をフォニックス指導や音韻操作活動の指導を2名の中学生と1名の小学生に実際に行っているが、彼らが持つ英語学習のつまずきの中で、どのつまずきや難しさの解決にこの指導が効果をもたらすのかについて、2年目となる平成30年度において詳細に検討し、まとめあげ、各方面において発表の機会を得たい

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度においては、勤務先が変わったこともあり、それまでの研究環境が変化し、年度当初は若干研究を推進する上で、戸惑いもあった。しかし、地域の教育委員会関係者や研究者仲間のお力添えもあり、平成30年度の研究内容が広がる方向への研究活動が進んでいる。大変ありがたいことである。さらに、英国、ポーランド、フィンランドの本研究分野の第一人者である研究者の方々と密に情報交換ができるようになったことは、今後の研究を後押しするものである。

今後の研究の推進方策

平成30年度においては、目的2.である「フォニックスの効果とローマ字学習の効果を考察し,」目的3.である「英語学習に困難を感じる学習者にとって,これらの功罪を議論する」ために,フォニックス指導とローマ字学習の実態調査を行い,英語学習における特に発音と綴り字への影響の調査を行う.
具体的な研究方法としては、①中学生と高校生を対象とした「過去におけるローマ字学習とフォニックス指導の実態調査を行い,小学校以降ローマ字学習やフォニックス指導がどれくらい実施されて,言語の音を学習する上でどの程度影響を受けてきているのかを調査し,②さらには,そういったことが英語学習を進める上でどのような影響をもたらしている可能性があるのかについて,検討する.③平成31年度に向けて,平成29年度,30年度に得られた研究成果をまとめ,分析し,④学習者が抱く英語学習上の困難さを再度詳細に検討する.
小学校におけるローマ字教育の功罪は、これまでにも議論されていないわけではない。だが、その議論が、英語教育研究の中で大きく取り上げられたことがなく、現在の小学校におけるローマ字教育はなんら進展していない。音韻操作活動の際に、子音と母音を分けることがどうしてもできない中学1年生は、やはり英語学習においても大きくつまづいていた。また、ローマ字学習では大文字で指導がすすみ、情報の授業におけるタイピングでは小文字で指導が行われる中で、戸惑う小学生は、ローマ字の習得に大きくつまずいていた。訓令式とヘボン式が混在するような環境の中で躊躇する子どもたちも少なくない。さらに、小学校3年生では、ローマ字と英語活動が同時にスタートする。その際、ローマ字は訓令式とヘボン式のどちらで導入した方が効果的なのか、と言った問題などについて、理論とデータをもとに提案できるようにすすめていきたい。

次年度使用額が生じた理由

以下の理由により若干の金額が次年度へ繰り越されることとなった。
・データ集計作業等への謝金の部分で当初予定していた時間より少なくて済んだこと
・実験データ採取にかかる費用が安くてすんだこと

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Lancaster University(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Lancaster University
  • [国際共同研究] Ludz University(Poland)

    • 国名
      ポーランド
    • 外国機関名
      Ludz University
  • [国際共同研究] Helsinki University(Finland)

    • 国名
      フィンランド
    • 外国機関名
      Helsinki University
  • [学会発表] 英語学習者のつまずきを意識した英語指導の在り方ーその理論と指導例ー2017

    • 著者名/発表者名
      飯島睦美 大谷みどり
    • 学会等名
      英語と特別支援教育の会 「英語学習における支援・工夫の在り方」 ~特別支援教育の視点を取り入れた英語学習を考える~
  • [学会発表] 英語教育における特別な支援の在り方:小中高大の連携を通して(1) =UDLを活用した今後の教員養成に向けての取組みー2017

    • 著者名/発表者名
      大谷みどり 三浦睦美 飯島睦美 小川厳 樋口和彦 宮崎紀雅 築道和
    • 学会等名
      日本LD学会台26会大会
  • [学会発表] 英語学習者の英文読解における音韻意識の果たす役割ー聴覚障害学生とディスレクシア傾向の学習者への指導よりー2017

    • 著者名/発表者名
      飯島睦美
    • 学会等名
      関東甲信越英語教育学会第41回新潟研究大会
  • [学会発表] 特別支援教育の視点を取り入れた英語学習を考える2017

    • 著者名/発表者名
      飯島睦美 緒方明子 中釜智子 原博子 村尾亮子
    • 学会等名
      第43回全国英語教育学会島根研究大会
  • [学会発表] 通常学級の外国語活動における支援の在り方を考えるー特別支援教育の視点からー2017

    • 著者名/発表者名
      大谷みどり 築道和明 飯島睦美
    • 学会等名
      第17回小学校英語教育学会
  • [図書] 学習障がいのある児童・生徒のための外国語教育-その基本概念,指導方法,アセスメント,関連機関との連携2018

    • 著者名/発表者名
      竹田契一,飯島睦美,大谷みどり,川合紀宗,築道和明,村上加代子,村田美和
    • 総ページ数
      310
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      978-4-7503-4577-2

URL: 

公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-22  

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