令和2年度では前年度で行うことができなかった測定(3・4年生以外)を追加することを模索したが,コロナの感染状況が改善せず追加測定には至らなかった.そのため,3・4年生の分析を進めるとともに,これまでの成果を論文や学会発表で公表し,「Science Impact」において児童の体力・運動能力と健康に対する学校教育の重要性について広報を行った. 3年生70名(男子36名,女子34名)と4年生68名(男子37名,女子31名)の計138名を対象に,起床後から朝食までの間に10分間,腋下で起床時体温を7日間連続で測定した結果を分析した.そして7日間の平均値が36℃未満を低体温群,36℃以上を標準体温群とした.また,対象の生徒に質問紙を配布し,自宅に持ち帰り7日間にわたり保護者と伴にアンケートに回答してもらった.アンケート内容は,睡眠,食事,排便,運動時間(体育の授業以外)およびスクリーンタイム等であった.さらに,児童は連続する7日間の内,休日(土日)をはさむ金曜日と月曜日において,登校後から1時間目の開始までの間に自律神経系活動をパルスアナライザープラスビュー(YKC社製)を用いて心拍変動解析によって測定した.分析に供したのは,総自律神経系活動,交感神経系活動,副交感神経系活動および自律神経系活動バランスであった.低体温群と標準体温群の割合は,それぞれ27%と73%であった.低体温群と標準体温群について,睡眠,食事,排便,運動時間(体育の授業以外)およびスクリーンタイムを比較したところ,群間に特徴的な傾向は認められなかった.自律時神経系活動についても同様の結果であったが,低体温群の自律神経活動測定時の心拍数が高い傾向にあったことから,低体温群は交感神経系活動が優位になる傾向があり,自律神経系活動に乱れがある可能性が示唆された.
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