研究課題/領域番号 |
17K04835
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
山田 玲子 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10322869)
|
研究分担者 |
岡田 忠雄 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30344469)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 学校救急処置 / 養護教諭養成 / フィジカルアセスメント / 臨床判断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,学校において子どもに起こりうる緊急性のある傷病への対応を適切に行うことができる養護教諭を養成するために,「学校救急処置」の授業プログラムを作成することである。平成30年度は以下4点を実施した。 ①昨年度実施した国内の養護教諭養成機関の「学校救急処置」に関連する授業シラバス調査に関しては,WEB閲覧により概観し考察した。また,国公立大学教育学部養護教諭養成課程の看護学を担当する教員より,シラバスだけではなくより詳細な授業内容について調査を行った。その結果,各大学での特色はあるものの,スタンダードというべき項目が確立していないことが明らかになった。さらに,すべての大学において<フィジカルアセスメント>が含まれており,特にバイタルサイン観察が重要であることが確認された。 ②そこで,救急処置において最も重要となるバイタルサイン観察に焦点を絞り,学校での救急処置場面での活用に関するアンケート調査を行った。具体的には,現職の養護教諭およそ300人を対象とし,バイタルサインの各項目の観察状況や使用物品,また自由記述において具体的な活用場面を調査した。詳細は現在分析中であるが,自由記述より「学校救急処置」の場面では,<養護教諭の臨床判断>が必要であることがわかり,バイタルサイン観察とともに<臨床判断>にも着目して研究をすることとした。 ③養護教諭の臨床判断について文献収集・検討を行い,「学校救急処置」場面では<養護教諭の臨床判断>の過程や能力の測定方法を検討することが必要であると考えられた。このことより,今年度は<養護教諭の臨床判断>能力の測定用具の開発も併せて行った。 ④「学校救急処置」として考えられる修学旅行でのアレルギー発症場面を想定した研修を高等学校の教員を対象に実施し,その成果を論文にまとめ発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度は文献検討を行い,養護教諭に求められている役割を明らかにすることができ,また今年度も,計画通りに国内の養護教諭養成機関の「学校救急処置」に関連する授業シラバスを概観し考察することができた。文献検討とシラバス調査から「学校救急処置」における<フィジカルアセスメント>,特にバイタルサイン観察の重要性が明らかにとなり,現職養護教諭へのアンケート調査へとつなげることができた。これらのことから,「学校救急処置」の授業プログラム作成へ向けて焦点を絞ることができていると考える。 さらに今年度の成果として,養護教諭の<臨床判断>能力に着目し,その測定用具を開発したことにより,来年度以降の授業プログラム実施の際の評価に有用な取り組みができた。加えて「学校救急処置」の場面として考えられる修学旅行でのアレルギー発症時を想定した研修を実施する機会に恵まれ,養護教諭を含めたチーム学校として「学校救急処置」にどのように取り組むことが望ましいかの示唆を得ることができた。 以上のことより,現在までの進捗状況として,おおむね順調に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる令和1年度には,昨年実施した「学校救急処置」におけるバイタルサイン観察の活用に関する調査結果をまとめ,授業プログラムの作成へとつなげる予定である。また,養護教諭志望学生を対象に<臨床判断>能力の測定用具を用いた調査を行い,その項目を精査したいと考えている。さらに,昨年実施したアレルギー発症時を想定した研修について,その内容を学生向けの授業として検討したいと考えている。これらのことより,「学校救急処置」の授業プログラムとして,バイタルサイン観察とアレルギー発症時に焦点を絞り,プログラムの作成と実施および評価を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は積極的に学会発表を行ったため,旅費を計画通りに使用した反面,調査データ処理作業にかかわる人件費を低く抑えることができた。また,物品も予定より安く購入できたため,物品費を低く抑えることができた。 次年度は今年度よりもさらに多くの学会発表を予定していることや研究成果として作成した授業プログラムの実施を予定していることから,旅費,人件費,印刷費等に充てる予定である。
|