研究代表者は新学習指導要領が求める「各教科等の文脈の中で身に付けていく力と、教科横断的に身に付けていく力とを相互に関連付けながら育成」する教育を道徳科において実現するため、柔軟なコンピテンシー・モデルに基づく道徳教育の方法を開発しながら道徳の内容項目全体に関する指導評価用コンピテンシー・モデルを体系化し、カリキュラム・マネジメントに資することを研究の最終目的としている。本研究では道徳科のいくつかの内容項目に関する指導評価用コンピテンシー・モデルを構築し、学校現場での授業実践、教師と研究者による事後検討、および教師による子どもの行動観察に基づいてモデルを検証、洗練しながら柔軟なコンピテンシー・モデルに基づく道徳教育の方法を開発することを目的とする。 親切のコンピテンシー・モデルに基づく道徳授業の実践とエピソード評価については、日本道徳教育学会大会で発表した後、論文として取りまとめ、「資質・能力を意識したカリキュラム・マネジメントに基づく道徳科の評価-コンピテンシー・モデルを用いた複数授業構成とエピソード評価-」と題して日本倫理道徳教育学会誌に投稿した。また、指導評価用コンピテンシー・モデルについては、「生命尊重」、「ルールとの付き合い」、「マナー」、「正直・誠実」、「友情」、「相互理解・寛容」について構築し、複数のコンピテンシー・モデル相互の関係について検討を行っている。「マナー」のコンピテンシー・モデルについては、小学校3年生の道徳授業づくりおよび実践結果の評価に利用した。
|