研究課題/領域番号 |
17K04841
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小川 哲哉 茨城大学, 教育学部, 教授 (80194439)
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研究分担者 |
柴原 宏一 茨城大学, 教育学部, 教授 (80781715) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 動画教材制作 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、高校における討議型道徳プログラムの再検討を行い、動画教材の開発を行うために全国の高校道徳教育実践の調査を実施し、高校道徳の現状を明らかにした。全国の高校道徳の状況だが、調査のために訪問した多くの高校では、道徳教育を学校の教育活動全体で行う形を取っており、週1回の道徳の時間を設けている高校はほとんどなかった。ただ、小・中学校で行われてきた道徳教育を高校でどのように接続していくかは、どの高校でも課題であり、高校における道徳教育のあり方について再検討しようという意識は見られた。中でも広島県教育委員会はかなり積極的であり、特に茨城県で実施している討議型の道徳教育実践に高い関心を示しており、平成30年度には科研研究者が研修指導することになっている。 さらに平成29年度は、平成30年度に本格的に実施する動画教材制作のための理論・実践的準備期間に充てた。特に動画教材の製作については、本年度は大学生による動画教材の試作と、高校生による動画作品の制作を試みた。大学生については、教育関係のショートドラマや報道番組の作成を行った。具体的にはiPadのアプリである「ロイロノート」を活用して、教育学関係の専門科目においてグループによるアクティブ・ラーニングを行い、学生たちにシナリオを作成させて、動画番組を作らせ、その評価を行った。 高校生の動画制作については、8月と2月に茨城大学で行われ公開授業に県立高校生を招聘して、理想の教師像に関する動画番組を作成させた。さらに12月には県立高校(下妻一高)に科研研究者が訪問し、同様の動画番組の制作を指導した。 こうした一連の研究実績を踏まえて、いよいよ来年度は、茨城県の高校生たちに参加してもらい道徳資料『道徳プラス』の教材の動画化を本格的に行う予定である。そのための準備作業として平成29年度の研究は有効であったと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の高校道徳の実態については、まず7月に広島県教育委員会を訪問し、広島県の高校道徳の状況を調査した。広島県では、既存の道徳教育実践だけではなく、討議型の道徳教育に関心があり、茨城県方式の討議型道徳授業を研修会を実施したい旨の依頼を受けた。8月には北海道立大麻高校と東陵高校を訪問し、道徳教育の現状を調査した。この二校は、北海道の道徳教育推進校に指定された高校で、特別活動の時間を活用した道徳教育が充実していた。2月には、福岡市の私立高校(九産大附属九州高校)を訪問して、私学の道徳教育の実態を調査するとともに、熊本県立濟々黌にも訪問し、伝統校の道徳教育に関する考え方を拝聴した。このように調査研究としては当初の目的を達成できている。ただ、こうした調査結果を受けて、本年は動画制作のノウハウを蓄積する段階にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、いよいよ本格的に茨城県の全ての県立高校で行われている「道徳プラス」の教材の動画作成を行うことになる。できるだけ高校生が主役になってもらい、可能ならば高校の演劇部の生徒たちや、メディア学科などを有する高校の協力をお願いしたいと考えている。同時に動画教材を使った授業において、討議型の道徳教育がいかなる教育的な効果を持つのかについての量的研究や質的研究を進め、道徳教育における教師―生徒関係の論究等も行いたい。こうした研究は、これまでにまだほとんど行われていないので、高校の道徳教育の理論と実践に関する研究にとって重要であると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、主にiPadやハードディスクレコーダーやノートパソコン等の研究設備費にあたる物品費と、高校道徳の実態調査のための旅費が多く、人件費等の使用が多少少なかったため、最終的には26965円を次年度使用額に計上した。ただ、平成30年度は動画教材の作成のために人件費の使用が多くなる予定である。
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