研究課題/領域番号 |
17K04843
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 マリア 筑波大学, 人間系, 准教授 (20434425)
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研究分担者 |
細戸 一佳 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (90337775)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スイス / ローザンヌ / 倫理、宗教文化 / 市民性への教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで教育学の分野ではほとんど解明されてこなかったスイスの価値教育について、今日の義務教育制度統一化の動きのなかで積極的に教育改革をリードしている「スイスフランス語圏における教育計画(Plan d'etudes romand)」(以下、「スイスPER」)に着目し、なかでも価値教育と関連の深い「倫理・宗教文化・市民性への教育」に焦点をあて、その詳細を解明することを目的とするものである。とくに、本研究では理論面だけでなく、「スイスPER」の教育計画に基づき、実際に開発されてきた教材や指導書の分析、評価や指導者養成の方法など、より実践面に踏み込んだ解明をめざそうとするものである。3年間の実施計画の初年度にあたる平成29年度は、1.「スイスPER」、「倫理、宗教文化、市民性への教育」の関連文献の収集・最新動向の把握、2.実際の指導場面の参与観察、聞き取り調査のための準備、依頼等、3.「倫理、宗教文化、市民教育」向けに開発されてきた教材・指導書等の収集、分析への着手を直近の具体的な課題として着手した。とくに、9月に訪問したローザンヌでは、教育担当の方から情報を得たり、小中高等学校の授業見学や宗教文化倫理担当者への聞き取り、出版社訪問と教科書をはじめとする資料を収集するなど、予想以上の成果を得ることができた。また、研究分担者や協力者とも適宜、会合をひらき、収集した資料の読解や分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
9月に訪問したローザンヌの教育担当者がスイスの教育改革に対してかなり精力的に取り組んでいる責任者の一人ということもあり、訪問にあたって様々な関係機関に打診したり日程調整をしたり、予想以上の協力を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の実施計画の二年目にあたる平成30年度は、1.「倫理、宗教文化、市民教育」向けに開発されてきた教材・指導書等の分析の続き、2.実際の指導場面の参与観察、評価や指導者養成の方法に関する聞き取り調査、3.国内外の学会における成果発表、学術誌への投稿、成果報告書の作成を具体的な課題として設定している。計画段階では平成30年度が本格的な参与観察の年度であったが、平成29年度にかなり計画が進んだため、できれば教員養成の仕組みについてもさらに調査を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査旅費を3名で予定していたが、1名だけ校務との兼ね合いでやむを得ず延期せざるを得なかったため、その分の旅費を次年度にまわすこととなった。
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