本研究の目的は、インターンシップ(以下、IS)における教育的効果の促進・阻害要因を明らかにすることである。昨今の政策的な動向を踏まえ、低学年次(1・2年生)学生対象の ISに限定し、具体的な促進・阻害要因を質問紙等による定量調査とインタビュー等の定性調査を行う。その上で、進路指導や就職活動と一体化した ISではなく、学校教育(高等学校および大学)の中に位置づけられた教育的効果の高い ISのあり方を検討、考察する。これまでに実施した研究実績および研究成果の概要は次のとおりである。 質問紙等による定量調査とインタビュー等の定性調査の分析結果をもとに、次のISにおける教育的効果の促進・阻害要因を明らかにした。 1.教育的効果の高い ISを展開していくには、学生、企業、大学が実施目的や達成目標のすり合わせを、きめ細やかに行い、それぞれにメリットのある具体的な実習プログラムを検討、実施していく必要があることが明らかになった。 2.低学年次(1・2年生)学生対象 ISに限定し、その具体的な教育的効果や要因として、学生のIS での成果である達成度について考察を行った結果、達成度の項目ごとに達成度合いがかなり異なること、学生自身の達成度については4つのカテゴリーに分かれること、学部専門知識、社会人基礎力との関係性があることが明らかになった。また、その達成度は IS実習内容と大きく関連性があり、IS の教育的効果を高めるためには、大学は実習内容を実習先である企業と十分に協議をし、各々の実施目的を明らかにした上で効果的なアプローチをする必要があることが明らかになった。 3.ヒアリング調査では、定量調査では見えてこなかった要因として、実施期間だけの成果だけでなく、その実習経験を大学生活や将来にどう活かすかという視点が重要であることが明らかになった。
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