本研究では、総合的な学習の時間における「認識論的な学び」とともに「存在論的な学び」の過程を明らかにし、両者の関係について検討する。伝統や文化の学習活動に焦点を当て、学習内容(学習者がどのような知識や技能を学んでいるか)から認識論的な学びの過程をとらえる。また、学習対象の伝統や文化を維持・継承しているコミュニティに対して自己をどのように位置づけるか(文化的アイデンティティ)という観点から、存在論的な学びの過程を明らかにする。 今年度は、学校から地域へと向かう発達的変化について、「共変移(consequential transition)」の概念を手掛かりに検討した。地域の伝統や文化に関わる教材を活用した学習活動でどのような越境が生じているのかを分析し、地域アイデンティティの発達を促す諸条件を明らかにした。
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