研究課題/領域番号 |
17K04849
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山田 智之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00758584)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 職場体験 / キャリア教育 |
研究実績の概要 |
1年目に予定していた職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした調査については、北越地域、関東地域の26校の中学校の校長、副校長、教員等を対象に面接調査を行った。このうち、北越地域のデータの分析を行った結果については、多くの中学校が、仕事や職業、進路や将来を生徒が主体的に考えることを目的としており、ほとんどの学校が総合的な学習の時間を活用し,学習内容を系統的に構成していることが明らかとなった。この結果については、日本キャリア教育学会第39回研究大会(上越教育大学)において、「シンポジウム:上越市における5日間の中学校職場体験に関する研究」を企画し、教育現場における職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけについて研究を深めた。 また、1・2年目に予定していた、中学校時代の職場体験やキャリア教育が成人期の進路選択・職業生活やセルフマネジメント等に与えた影響に関する大学生や職業人を対象としたアンケート調査については、全国の大学生1000名、北越地域の職業人100名のデータを収集した。このうち北越地域の職業人データをもとに分析をすすめ、職場体験の体験日数(1~2日間, 3~4日間, 5日間以上)が長いほど職業選択や職業生活に影響を与えたと自認する傾向があることが確認された。また, 地元での生活や仕事への満足感が高いほど成人職業キャリア成熟にプラスの影響を与え, 理想の自分イメージにも影響を与えることが明らかになった。この結果については、上越教育大学研究紀要37巻に、調査協力者とともに共同執筆を行い「中学校における職場体験が職業選択や職業生活に与える影響-新潟県上越市における社会人への調査からー」として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定していた職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした調査については、北陸地域、関東地域の26校の中学校の校長、副校長、教員等を対象に面接調査を行った。2年目にも面接調査を継続し、30校程度のデータを集める予定である。当該データのうち北越地域のデータをもとに分析を進めた結果においては、5日間職場体験の実施に対して教育的な意義を実感していることが明らかとなった。職場体験の目的については、仕事や職業、進路や将来を(生徒が)自分で考えることとしており、多くの学校が総合的な学習の時間を活用し,学習内容を系統的に構成していた。一方で,他の体験活動の学習内容との繋がりに課題を感じていることが見受けられた。 また、1・2年目に予定していた、中学校時代の職場体験やキャリア教育が成人期の進路選択・職業生活やセルフマネジメント等に与えた影響に関する大学生や職業人を対象としたアンケート調査については、全国の大学生1000名、北越地域の職業人100名のデータを収集した。2年目には、全国の職業人の調査を中心にさらなるデータ収集に努める予定である。当該データのうち北越地域の職業人データからは、職場体験の体験日数(1~2日間, 3~4日間, 5日間以上)が長いほど職業選択や職業生活に影響を与えたと自認する傾向があることが確認された。また, 地元での生活や仕事への満足感が高いほど成人職業キャリア成熟にプラスの影響を与え, 理想の自分イメージにも影響を与えることが明らかになった。 3年目に予定をしている、中学生を職場体験で受け入れている事業所への面接調査については、2年目である今年に準備を進め、必要に応じて調査を開始する予定である。 以上のことから、概ね平成29年度の研究計画・方法(概要)に示した通り進んでおり、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1 1年目にいて、26校まで進めた職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした調査については、2年目にも面接調査を継続し、合計で30校程度のデータを集める、職場体験やキャリア教育の現状について、教育課程と実際を照らし合わせて検討を進める。 2 1・2年目に予定していた、中学校時代の職場体験やキャリア教育が成人期の進路選択・職業生活やセルフマネジメント等に与えた影響に関する大学生や職業人を対象としたアンケート調査については、全国の職業人の調査を中心にデータ収集に努める予定である。一方、1年目に約1000名のデータが集まった大学生の調査については、職業観、キャリア意思決定、地元志向等の視点から、職場体験の効果について検討を進め、研究成果を学会などで公表する。 3 3年目に予定をしている中学生を職場体験で受け入れている事業所への面接調査については、2年目である今年に準備を進め、必要に応じて調査を開始する予定である。 4 学校や事業所等が、これからの職場体験やキャリア教育の在り方を検討できるよう研究成果のまとめ方と検討し、最終年の研究総括に向けた準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度については、当初予定していた面接本調査を次年度に変更し、H30年度に予定していた質問紙調査を中心に行ったため旅費において残額が生じた。また、当初統計ソフトのバーションアップでの対応を予定していたが、バーションアップ商品以前のものであったことから、新たに購入することとなり研究経費内訳の変更が必要となった。このため、当初予定していた報告書の作成を断念し、報告書の作成にあてる研究経費を統計ソフトの購入に充当した。また、予定していた報告書の内容については、大学の紀要論文及び本学で行われた学会研究大会の発表で対応したため、増額は生じなかった。以上のような計画の変更があったため残額が生じた。 H30年度については、2年目までに実施を予定していた調査・研究を進めるために、分析ソフトの追加購入、調査のための交通費、調査のための郵送費、研究成果発表のための旅費,データ整理のための人件費として使用を予定している。
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