研究実績の概要 |
2年目は,収集した全国の大学生1000名のデータについて分析をすすめ,職業観が地元志向に与える影響の仕方が、東京・千葉・埼玉・神奈川の中学校に在籍した者と、それ以外の地域の中学校に在籍した者で異なることが明らかになった。東京・千葉・埼玉・神奈川の中学校に在籍した者は、職業観の中の経営参画因子が、地元での労働志向を高め、それ以外の地域の中学校に在籍した者は、職業観の中の社会への貢献因子が地元での労働志向を高めることが明らかになった。また,東京・千葉・埼玉・神奈川の中学校に在籍した者は、職業観の中の経営参画因子,余暇因子が地元を離れることへの不安を高め,それ以外の地域の中学校に在籍した者は、職業観の中の昇進因子が地元を離れることへの不安を高め、職業観の中の収入因子が地元を離れることへの不安を抑制することが明らかになった。この結果については、日本心理学会第82回大会(東北大学)において、「大学生の職業観が地元志向に与える影響」としてポスター発表を行った。他方,中学校時代の職場体験による進路への影響, 夢や希望への影響を大学生・大学院生が自認している場合において, 職業観(家族因子,社会への貢献因子,経営参画因子,自己実現因子等)に影響を与えていたことが明らかになり,大学生・大学院生の職業観の形成において,中学校での職場体験の影響は小さくないことが示唆された。この結果については、日本キャリア教育学会第40回研究大会(早稻田大学)において、「中学校での職場体験が大学生の職業観に与える影響」として口頭発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目行った職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした面接調査については、2年目も継続し、北陸地域、関東地域の27校の中学校の校長、副校長、教員等を対象に調査を行ったところ,集められたテキストデータが統計的に飽和状態になり,組織としての視点からみたデータが充分に集められた。このことから,個々の教員の視点からみた職場体験やキャリア教育の捉え方を把握するために教職員(校長、副校長、教員等)を対象としたキャリア教育に関する質問紙法による意識調査を計画に加え実施し,100名のデータが集まった。当該調査については,3年目にも継続して行い、合計で300名程度のデータを収集する予定である。 また,1年目に収集した全国の大学生1000名について分析をすすめ,職業観が地元志向に与える影響の仕方が、東京・千葉・埼玉・神奈川の中学校に在籍した者と、それ以外の地域の中学校に在籍した者で異なることが明らかになった。他方,中学校時代の職場体験による進路への影響, 夢や希望への影響を大学生・大学院生が自認している場合において, 職業観に影響を与えていたことが明らかになり,大学生・大学院生の職業観の形成において,中学校での職場体験の効果は小さくないことが示唆された。 また,2年目に予定していた、職業人調査については,職業人100名まで集まったが,十分なデータ数でないことから,3年目にも継続し行う予定である。 3年目に予定をしている中学生を職場体験で受け入れている事業所への面接調査については、2年次に10社程度まで前倒しで実施した。3年目にも調査を継続し、事業所側の視点での職場体験の捉え方について検討を進める予定である。 以上のことから、研究計画に若干の遅れが生じていることから,やや遅れていると評価した。
|