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2019 年度 実施状況報告書

中学校時代の職場体験やキャリア教育が成人期の進路選択や職業生活等に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 17K04849
研究機関上越教育大学

研究代表者

山田 智之  上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00758584)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード職場体験 / キャリア教育 / 大学生 / 教職員 / 職業観 / 教職観 / マイノリティー / オタク
研究実績の概要

3年目は、収集した全国の大学生1000名をもとに,マイノリティーの職業観について分析を進め、特徴的なマイノリティーであるオタクを取り上げて検討をしたところ、オタクとしての自認がある場合,職業観の下位尺度である社会への貢献因子,自己実現因子に負の影響を与えることが明らかになった。このことから,オタクというマイノリティーは,職業によって社会への貢献や自己実現を図ろうとはしない傾向があると考えられた。この結果については、日本心理学会第83回大会(立命館大学)において、「オタクの職業観に関わる研究」としてポスター発表を行った。また、1年目より継続的に行っている個々の教員の視点からみた職場体験やキャリア教育の捉え方を把握するために教員を対象とした質問紙法による調査によって集めた約159名の教員のデータと、大学生データのなかから教員を志望するもの163名を抽出し、職業観のうち教職観に絞って、その相違を検討した。その結果、現職教員の教職観は,他者に関連した因子が高い傾向を示し,教員志望学生の職業観は,自己に関連した因子が高い傾向を示し、一定の職務経験が職業観に及ぼす影響が示唆された。この結果については、日本教育心理学会第61回総会において「現職教員と教員志望学生の教職観の相違」としてポスター発表を行った。また、これまでの研究を総括し日本キャリア教育学会第41回研究大会(長崎大学)において、シンポジウム「研究における『理論と実践』について考えるライブ ~生徒の変容,保護者・教師の願いをどのように測定するか?~」を企画し「研究的な視点と実践的な視点の温度差」に関わる話題提供を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

1・2年目行った職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした面接調査については、組織としての視点からみたデータが充分に集められた。また,2・3年目には、個々の教員の視点からみた職場体験やキャリア教育の捉え方を把握するために教職員(校長、副校長、教員等)を対象としたキャリア教育に関する意識調査を質問紙法によって実施し,200名程度のデータが集まったが、4年目にも継続して行い、合計で300名程度のデータを収集・分析を進める予定である。
また,1年目に収集した全国の大学生1000名について分析をすすめ,職業観が地元志向に与える影響の仕方が、首都圏の中学校に在籍した者と、それ以外の地域の中学校に在籍した者で異なることが明らかになった。他方,中学校時代の職場体験による進路への影響, 夢や希望への影響を大学生・大学院生が自認している場合において, 職業観(家族因子,社会への貢献因子,経営参画因子,自己実現因子等)に影響を与えていたことが明らかになり,大学生・大学院生の職業観の形成において,中学校での職場体験の意義は小さくないことが示唆された。他方、職業によって社会への貢献や自己実現を図ろうとはしない傾向があるマイノリティーが存在することが明らかになり、自己実現とキャリア教育の在り方を検討する必要性が示唆された。2・3年目に予定をしている中学生を職場体験で受け入れている事業所への面接調査については、20社程度まで実施し、社会貢献的な目的で行っている事業所が多いことが明らかになった。ただ、大規模な事業所の中には社員研修に一貫として職場体験を行っている事業所もあった。以上のことから、調査と分析については、研究的に進んでいるが、これらの研究を報告書にまとめる段階まで進めることができなかったため、遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

中学校時代の職場体験やキャリア教育の影響を明らかにするために,2017~2019年度に中学校の管理職及び教員,中学時代に職場体験を経験した職業人や大学生,職場体験の受け入れ事業所の方を対象に質問紙調査や面接調査及び分析を行った。このうち2019年度に行った教員への調査において、十分なデータ数が確保できなかったことから、1年間の期間延長を依頼し2020年に追加調査を実施する予定である。また、教員調査の遅れから,報告書が未完成となっている。このため,当該の調査の分析を進めるとともに、研究全体を総括し,報告書にまとめていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究計画の遅れから、本研究の結果を総括した報告書も未完成となっているため、各調査の分析と報告書の作成を2020年度に行い,未使用額は,その経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] オタクの職業観に関わる研究2020

    • 著者名/発表者名
      山田智之
    • 雑誌名

      上越教育大学研究紀要

      巻: 39 ページ: 407-416

    • オープンアクセス
  • [学会発表] オタクの職業観に関わる研究2019

    • 著者名/発表者名
      山田智之
    • 学会等名
      日本心理学会第83回大会
  • [学会発表] 現職教員と教員志望学生の教職観の相違2019

    • 著者名/発表者名
      山田智之
    • 学会等名
      日本教育心理学会第61回総会
  • [学会発表] 研究における「理論と実践」について考えるライブ ~生徒の変容,保護者・教師の願いをどのように測定するか?~ 研究的な視点と実践的な視点の温度差2019

    • 著者名/発表者名
      山田智之
    • 学会等名
      日本キャリア教育学会第41回研究大会

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公開日: 2021-01-27  

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