研究課題/領域番号 |
17K04849
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
山田 智之 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00758584)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 職場体験 / キャリア教育 / 特別活動 / 総合的な学時間時間 / マイノリティー / レジリエンス |
研究実績の概要 |
1年の延長をいただいた4年目は、現職教員と教員志望の大学生・大学院生に着目し,「職場体験」をはじめとするキャリア教育に関わる取り組みが「特別活動」や「総合的な学習(探求)の時間」等,教育課程上どのような位置づけで行われているのかという認識について,質問紙法による調査を行った。そして,集めた教員約54名,大学生約126名のデータを分析した結果,職場見学や職場体験,職業人講話や卒業生講話等については,教員,大学生共に,「総合的な学習(探求)の時間」に取り組んだという認識の者が多く,両者の有意な差は確認できなかった。この結果については,上越教育大学研究紀要41巻1号に研究論文として掲載予定である。また,3年目に行ったマイノリティーの職業観に関する研究を進めるために,オタク自認者と非オタク自認者に着目して,関東甲信越北陸地域の大学生・大学院生を対象にインターネットによるWEB調査を実施した。そして,集めた327名のデータを分析した結果,オタク自認者は,ネットにおける共感力が,レジリエンスに負の影響を与えていた。また,ニュートラルの者は,現実の共感力がレジリエンスに正の影響を与えていた。また,非オタク自認者においては,現実の共感力とネットにおける共感力がレジリエンスに正の影響を与えていた。このようにオタク自認者のレジリエンスは,共感力によって高まらないことが明らかになった。この結果については,日本キャリア教育学会第42回研究大会(筑波大学)において、「共感力がレジリエンスに与える影響―オタク自認者と非オタク自認者に着目して―」と題して発表を行うとともに,上越教育大学研究紀要40巻2号に研究論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1・2年目に行った職場体験やキャリア教育の教育課程上の位置づけや関連する取り組みに関する中学校の教員を対象とした面接調査については、組織としての視点からみたデータが充分に集められた。また,2・3年目には、個々の教員の視点からみた職場体験やキャリア教育の捉え方を把握するために教職員(校長、副校長、教員等)を対象としたキャリア教育に関する意識調査を質問紙法によって実施し,200名程度のデータが集まったが、5年目にも継続して行い、合計で300名程度のデータを収集・分析を進める予定である。 また,1年目に収集した全国の大学生1000名について分析をすすめ,職業観が地元志向に与える影響の仕方が、首都圏の中学校に在籍した者と、それ以外の地域の中学校に在籍した者で異なることが明らかになった。他方,中学校時代の職場体験による進路への影響, 夢や希望への影響を大学生・大学院生が自認している場合において, 職業観(家族因子,社会への貢献因子,経営参画因子,自己実現因子等)に影響を与えていたことが明らかになり,大学生・大学院生の職業観の形成において,中学校での職場体験の意義は小さくないことが示唆された。他方、職業によって社会への貢献や自己実現を図ろうとはしない傾向があるマイノリティーが存在することが明らかになり、自己実現とキャリア教育の在り方を検討する必要性が示唆された。 2・3年目に予定をしていた中学生を職場体験で受け入れている事業所への面接調査については、20社程度まで実施し、社会貢献的な目的で行っている事業所が多いことが明らかになった。ただ、大規模な事業所の中には社員研修の一環として職場体験を行っている事業所もあった。 以上のことから調査と分析については、進んでいるが、これらの研究を報告書にまとめる段階まで進めることができなかったため、遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
中学校時代の職場体験やキャリア教育の影響を明らかにするために,2017~2020年度に中学校の管理職及び教員,中学時代に職場体験を経験した職業人や大学生,職場体験の受け入れ事業所の方を対象に質問紙調査や面接調査及び分析を行った。しかしながら、COVID-19の感染拡大に伴い、研究全体の総括が遅れ報告書が未完成となっている。このため,当該の調査の分析を進めるとともに、研究全体を総括し,報告書にまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
中学校時代の職場体験やキャリア教育の影響を明らかにするために,2017~2020年度に中学校の管理職及び教員,中学時代に職場体験を経験した職業人や大学生,職場体験の受け入れ事業所の方を対象に質問紙調査や面接調査及び分析を行った。しかしながら、COVID-19の感染拡大に伴い、研究全体の総括が遅れ報告書が未完成となっている。このため,当該の調査の分析を進めるとともに、研究全体を総括し,報告書にまとめていく予定である。未使用額は,その印刷・製本経費に充てることとしたい。
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