研究課題/領域番号 |
17K04852
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
平野 吉直 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40293534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 長期集団宿泊活動 / 野外教育 / 生きる力 / 自己効力感 |
研究実績の概要 |
①長期集団宿泊活動実施小学校の調査:先行研究・実践事例報告や日本野外教育学会員への聞き取り等から、年間教育計画に位置付けて実施されている小学校の長期集団宿泊活動の情報を収集した。これらの情報をもとにして、長期集団宿泊活動の実施小学校(東京都江戸川区立小学校)を訪問し、教育課程上の位置付け、外部指導者の活用状況、活動プログラム、経費等について調査するとともに、引率教諭5名に対して活動の成果等に関するインタビュー調査を実施した。 ②年間教育計画の位置付けではない通学合宿等の取組みの調査:先行研究・実践事例報告や日本野外教育学会員への聞き取り等から、年間教育計画の位置付けではない通学合宿等の取組みの情報を収集した。これらの情報をもとに、長野県諏訪市の蓼科保養学園について、参加者(40名×4期)の教育的成果を確認するため、児童用一般性セルフ・エフィカシー測定尺度を実施した。また、長野県南部で取り組まれている通年合宿の参加者(16名)を対象に生きる力を測定するIKR評定尺度を実施するとともに、通年合宿の施設を訪問し、施設責任者にこれまでの通年合宿の成果等についてインタビュー調査を実施した。 ③研究成果の発表:これらの調査に加え平成28年度に実施した調査をもとに、日本野外教育学会第20回大会において、「長期寄宿体験における不安が児童の生きる力に及ぼす影響」(共同)及び「70日間の長期寄宿体験が及ぼす教育的成果-児童の行動変容プロセスに着目して-」(共同)を口頭発表した。さらに、国立青少年教育機構青少年教育研究センター紀要第6号に、研究ノート「70日間の長期寄宿体験が児童の生きる力に及ぼす効果」(共同)が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画では、①長期集団宿泊活動実施小学校の調査、②年間教育計画の位置付けではない通学合宿等の取組みの調査、③長期集団宿泊活動の類型化、の3点を挙げた。 このうち、①では、先行研究・実践事例報告や日本野外教育学会員への聞き取り等から、年間教育計画に位置付けて実施されている小学校の長期集団宿泊活動の情報を収集することができ、長期集団宿泊活動を実施している東京都江戸川区立の小学校を訪問し、その実施状況、教育的成果等の情報を得ることができ、今後の研究に関する協力を得ることができた。 また、②については、先行研究・実践事例報告や日本野外教育学会員への聞き取り等から、長野県諏訪市の長期寄宿活動や長野県南部で取り組まれている通学合宿等の取組みの情報を収集することができた。これらの取組みにおいて、児童の生きる力や自己効力感を測定する調査用紙を用いて取組みの教育成果を調査するとともに、実施責任者へのインタビュー調査をとおして教育成果や有効なプログラムに関する情報を得ることができた。 ③については、先行研究・実践事例報告や日本野外教育学会員への聞き取り等から、泊数、実施プログラムや実施方法、指導者の確保等の特徴から、年間の教育計画に位置付けた小学校における1週間程度の集団宿泊活動、1週間程度地域の施設で仲間と合宿をしながら学校に通う通学合宿、数か月に渡り寄宿生活を送る長期寄宿体験活動、1年間以上にわたり合宿施設や農家等を拠点にして合宿生活を送る通年合宿・山村留学、の4つに大きく分類されることがわかった。 以上のことから、当初の研究計画に沿った実施がおおむね順調に行われているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成29年度の実施成果を踏まえ、長期集団宿泊活動を実施している小学校や団体の実施事例の調査を拡大するとともに、各取組みに参加した児童を対象に、「子どもIKR評定尺度」及び「児童用一般性セルフ・エフィカシー(自己効力感)測定尺度」を実施前後に実施し、それぞれの取組みの成果を比較分析する。 また、長期集団宿泊活動の具体的成果及び課題を分析するために、長期集団宿泊活動を実施している小学校や団体の取組みについて、過去の成果報告書及び実施担当者へのインタビューによって、有効なプログラムや指導方法、具体的成果や課題を調査する。
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