研究課題/領域番号 |
17K04866
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
森岡 弘 山口大学, 教育学部, 教授 (00249848)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 教材開発 / デジタルファブリケーション / 3DCAD / 製図 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、研究初年度として、新たに3Dプリンタ、CNC加工機を導入したデジタルファブリケーション環境を山口大学教育学部機械研究室に構築しデジタルファブリケーション環境を利用したものづくり教育のカリキュラムを検討した。本年度は本校の附属中学校2校にSmallデジタルファブリケーション環境を導入するとともにカリキュラムの整備を行った。 (1)附属中学校のSmallデジタルファブリケーション環境の構築 デジタルファブリケーションの特徴は製造データをデジタルでやり取りできる点にある。附属中学校の既存のコンピュータ環境に教育機関向けに無償提供された3DCADを導入し、さらに使用頻度の高い3Dプリンタについては附属中学校2校にそれぞれ購入して配置した。これにより製図から製造までを行えるデジタルファブリケーション環境を構築することができた。このような環境を利用することにより、研究代表者の研究室で開発したデジタルファブリケーションの教材データを附属中学校と共有し、附属学校の技術科を担当する教員と連携して教材の開発を行うことや、教育実習に利用できる教材の開発や製造が可能になった。 (2)デジタルファブリケーション環境を利用したものづくり教育 構築したデジタルファブリケーション環境を利用して、本校における技術科教員の養成カリキュラムに、平成29度導入したCADによる製図や3Dプリンタなどのデジタルファブリケーション技術を利用したものづくり教育をさらに発展させるために、カリキュラムの充実を検討した。具体的には1年次の製図の授業を3DCADとしてオートデスク社のlnventor Professionalを導入したデジタルファブリケーション技術との連携を念頭にした授業内容に整備して、後期15週の授業科目として実践した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、デジタルファブリケーション技術においてもっともよく使用されている3Dプリンタを本校附属中学校2校にそれぞれ購入して配置した。これにより、本校教育学部と附属2中学の技術教育に携わる教員が互いに連携した教材開発を行えるデジタルファブリケーション環境を構築することが可能となった。本環境利用して、2年生後期期の授業「技術科・ものづくり内容開発研究」および3年次前期の授業「技術科・ものづくり授業実践基礎演習」において学生が教育実習の教材づくりを行い、教育実習の導入教材として使用した。現在はカリキュラム進行中の過渡期であり、デジタルファブリケーション技術に関連する授業科目への導入が学年進行ではないことから内容に一部重なる項目があるが、平成30年度(本年度)入学生からは1年次後期から3年次前期にかけて系統的にデジタルファブリケーション技術を習得できるようなカリキュラム構成とした。 また、平成29年度に引き続き現職の中学校技術科教員を対象としたデジタルものづくり勉強会を開催し、さらに、附属中学校の生徒に対する3DCADによる造形物のデータ製作方法の実習を行った。これらの講習を通してデジタルものづくりの今後の教育現場への導入などについて討論した。 これらのことから、平成30年度の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、全国の教員養成大学で望まれているのは、附属学校園や公立の連携協力校等を積極的に活用した実践的な能力を有する質の高い教員を養成することである。またSociety 5.0の構想を実現していくためにはデジタルファブリケーションによるものづくり教育ができる人材育成・教育プログラムを附属中学校と連携して検討していく必要がある。本年度まで教育学部の機械研究室にフル装備のデジタルファブリケーション環境(レーザーカッターを除く)および本校の附属中学校2校にSmallデジタルファブリケーション環境を導入して環境を整備した。来年度はレーザーカッターを機械研究室に新たに導入して大学側のデジタルファブリケーション環境を完成させる。 今後は本校におけるデジタルファブリケーション技術関連の授業カリキュラムをさらに充実させる。さらに、本環境で作成した教材データを附属中学校と共有し、附属学校の技術科を担当する教員と連携して教材の開発および製作や教育実習に利用することを検討していく。さらに技術科教員の養成のためだけでなく、実際の教育現場での利用の可能性についても検討して行く。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)購入した3Dプリンタとその関連の物品・消耗品の購入価格が予定金額を下回った。また旅費関連については調査研究、学会発表等の必要な出張を実施したが、これらについても予定金額を下回った。 (使用計画)研究当初の計画ではデジタルファブリケーション技術の重要な設備のひとつであるレーザーカッターを購入予定であったが、予算の都合上見送っていた。しかし、研究をさらに進めるにはレーザーカッターの導入が必要となった。価格も低価格化していることから、平成30年度の残額を利用して、平成31年度の使用額と合わせて購入して、Full装備のデジタルファブリケーション環境を構築する。
|