平成29年度に改訂された新学習指導要領において、中学校の技術科では、3DCAD、3Dプリンタなどの導入が推奨された。本研究では、3Dプリンタなどを使用したデジタルファブリケーション技術を用いたものづくり教育を担当できる技術科教員の養成について検討している。研究実績は大きくわけて次の3つである。 1.デジタルファブリケーション環境の構築 本研究を通して山口大学教育学部機械研究室に3Dプリンタ、CNC加工機を導入し、附属中学校2校に使用頻度の高い3Dプリンタをそれぞれ配置したデジタルファブリケーション環境を構築した。これにより、研究代表者の研究室で開発した教材のデジタルデータを附属中学校と共有し、附属学校の技術科を担当する教員と連携した教材の開発や、教育実習に利用できる教材の開発が可能になった。 2.デジタルファブリケーション環境を利用したものづくり教育 本学における技術科教員の養成カリキュラムに、3DCADによる製図や3Dプリンタなどのデジタルファブリケーション技術を利用したものづくり教育のカリキュラムを導入した。具体的には1年次の製図の授業に3DCADを導入し、2、3年次の技術科ものづくり関連授業に教育実習と連携したデジタルファブリケーション技術を取り入れた授業を行った。平成30年度入学生からは1年次から3年次にかけて系統的にデジタルファブリケーション技術を習得できるようになった。 3.附属学校園と連携した実践的な能力を有する質の高い教員を養成。 本環境利用して、2、3年次の授業において学生が教育実習の教材づくりを行い、教育実習の導入教材として使用した。また、中学校技術科教員を対象としたデジタルものづくり勉強会を開催し、デジタルものづくりの今後の教育現場への導入などについて討論した。令和元年度は附属山口中学校の1年次の技術科の製図の授業において3DCADを導入した実践が行われた。
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