研究課題/領域番号 |
17K04868
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
毛利 猛 香川大学, 教育学部, 教授 (50219961)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中一ギャップ / 小中連携 / 学校文化 / 進学不安 / 教員の働き方改革 / 若者の教職離れ |
研究実績の概要 |
科研費を受けた研究の成果として平成29年度から令和3年度までに発表した下の第1論文~第5論文を収録した暫定的な「研究成果報告書」(令和4年2月)を取り纏めた。 第1論文「『私の中学校時代』という物語を生きる」では、物語論の立場から、異なる「学校文化」間の移行と中学校生活への適応に関する問題について考察した。第2論文「「中一ギャップ」現象と両にらみの小中連携」では、大学生を対象に実施した「思い出の中の「小中連携」に関する調査」を手がかりに、「中一ギャップ」現象の背後にあるとされる「進学不安」がある種の「予期不安」に過ぎないことを明らかにし、学校における働き方改革の時代には、適応の問題を抱えた子どもへの(ギャップをなくす方向での)援助の仕方を、平均的な多数の生徒に当てはめることなく、教師のエフォートを適正に配分しつつ、社会性を育成するための「学校ならでは」の取組み続けていく必要があることを提言した。第3論文「学級の雰囲気と教師」と第4論文「子どもたちの仲間関係-島宇宙化とキャラ化」では、子どもの社会性や「たくましさ」を育てる取り組みとして、日本の担任教師による学級づくりの実践に光を当てた。子どもの社会性や「たくましさ」の育成という課題は、そのまま若者の教職離れが進行しつつある時代の教員養成の課題でもある。教員の働き方改革の問題と絡めてこの問題を論じたのが第5論文「少子化の中の教員養成と教育学ー教員養成系大学・学部の挑戦」である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.学校における働き方改革の時代に、多忙化している教師をさらに追い詰めることなく、子どもの問題と学校の実情に合った小中連携を推進していく必要性を、子どもの社会性や「たくましさ」を育成する「学校ならでは」の取り組みや、若者の教職離れの問題と絡めて考察した理論研究については一定の成果を収めている。 2.学校教員の多忙化と新型コロナウイルスの感染拡大の影響があり、小中連携の先進校への研究取材については、当初の計画を変更して取りやめたり延期することを余儀なくされた。 1.2.を総合すると「やや遅れている」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの変異株の感染拡大により、学校に出向いての研究取材については、今しばらく控えなければならないかもしれない。それでも工夫しながら、「小中連携」の取り組みと「入学前後の不安」についてのさらに詳細な分析を行うとともに、日本型教育の強みとも言える、子どもの社会性を育てるための「学校ならでは」の教育活動を取り上げ、これを教育学的に基礎づけていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの変異株の感染拡大により、県外のフィールド地区、先進事例校への研究取材ができなかったため、研究経費のうち、とくに旅費の使用額が予定より少なくなった。
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