21世紀は、新しい知識、情報、技術が政治経済や文化をはじめ社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す「知識基盤社会(knowledge-based society)」といわれている。また、グローバル化が進展し不確実が増大する社会であり、あらゆる領域や分野で知識が重要な価値をもつ「知識基盤社会」であり、答えのない課題に向き合い、最適な問いを立て、限られた情報をもとに妥当な解に出さなければならない。こうした社会的スキルを獲得するためには、正規の教育課程もさることながら、教育課程外の部活動で培われることが明らかになってきている。部活動が、21世紀の知識基盤社会を担っていくためには、これまでの形式化された部活動ではなく、新たな部活動づくりが求めれる。教育課程外の部活動だからこそ学べる知識がある。一方、これまでわが国では、部活動はスポーツを利用し、スポーツは部活動を利用してきた。その結果両者の絆は、学校教育そしてスポーツ振興へ多大な貢献をもたらした。この両者を「つなぐ」手掛かりとして「活動理論」に着目し検討した。活動理論とは、人間の「活動システム」の文化・歴史的発達に関する理論である。また、活動とは、環境の中の「対象」、いわば目的や動機に向かっていく諸活動が連鎖し連関する構造のことである。 知識基盤社会からの期待が高まる部活動であるが、教員の労働時間が諸外国の中でも顕著に長くなり、特に部活動に多くの時間が割かれていることが明らかになってきた。そのため部活動はブラック部活と揶揄され、教員負担が加重となっている。つまり部活動は、教員の労働意欲を削ぐ教育活動として問題視されている。一方で、放課後や休日の拘束時間が長くなるにも関わらず、部活動へ積極的に参画し、自己の動機を満足させている教員がいることも事実である。この大きな違いを明らかにした。
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