研究課題/領域番号 |
17K04878
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
岡田 順太 獨協大学, 法学部, 教授 (20382690)
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研究分担者 |
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40452924)
栗田 佳泰 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60432837)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 主権者教育 / 共生社会 / 多文化共生 / 憲法学 / LGBT / 包摂 / 教育教材 / リベラル・ナショナリズム |
研究実績の概要 |
本年度は、共生社会における教育の方法論の実践例を調査すべく、アメリカ・カリフォルニア州におけるFAIR Education法及びそれに基づいて採択された教科書の記述についての調査研究を重点的に行った。国内での資料調査を踏まえ、2020年2月にサンフランシスコ市を訪問し、Gerald Koskovich氏(GLBT Historical Association)、Jonathan Simon教授(U.C. Berkeley Law)、Don Romesberg教授(Sonoma State University)及びAmy Sueyoshi教授(San Francisco State University)への聞き取り調査を実施した。 特に、Romesberg教授は、FAIR Education法の制定に尽力した関係で内情に詳しい人物であり、法制度の現状と教育実践上の課題について貴重な情報を得ることができた。現地調査により、さらなる研究の可能性を見出すことができた。また、これらの成果に関して、国内で行われた研究会での口頭報告の機会を得て、さらに多角的な理論構築を進めるための課題を発見することができた。 あわせて、従来より実施している模範議会プロジェクトについての取りまとめた資料を「模範議会2018:記録と資料」白鴎大学論集として刊行することができた。また、比較研究担当の横大道は、「探検する憲法――問いから始める道案内 第21回 どのように主権者を育てるのか」(法学教室)、「探検する憲法――問いから始める道案内 第14回 どのように人権を教えるのか」(同)において、理論研究担当の栗田は、『リベラル・ナショナリズム憲法学』(法律文化社)において、研究テーマに関連した成果を公表した。いずれも、本研究を発展させるものであり、最終年度の取りまとめに向けた取組みに寄与する意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査に関しては、当初の予定と異なる点があるものの、研究目的との関係で基本的な変更はなく、また、訪問先の人脈をたどり、さらにその人脈を活用することで、多くの研究者・実務家から聞き取り調査をすることができ、多様な観点からの課題発見・情報収集に資するものであった。 なお、国内外の調査・研究会への出席については、新型コロナウイルスの感染拡大期の直前であったため、大きな支障なく実施することができた。 また、構成員各自が研究業績の刊行に尽力し、社会への知的還元を順調に進めていると評しうる。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査については、本年9月にサンフランシスコを再び訪問し、さらに聞き取り調査や資料収集を実施する予定でおり、2月に訪問した際に、関係者から内諾を得て日程調整を早めに実施するつもりでいた。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、ひとまず9月の訪問はキャンセルすることとしており、状況を見て可能であれば年度内に訪問する方向で検討している。ただ、見通しが立たない状況であるので、最終年度として当初の予定通り、これまでの業績の取りまとめに専念することも検討している。 業績に関しては、主権者教育に向けた教材作成に取り組んでいるところであり、その試行版を完成される予定である。可能であれば、カリフォルニア州で採択されている教科書を参考にすることも視野に入れているが、現地でないと入手困難なものも多く、現状で可能な限りの成果物の刊行にとどまるのも、現状を考えるとやむを得ないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外旅費の金額が想定よりも低く抑えられたことと、当初購入する図書が他の経費によって入手可能であったことによる。次年度は物品費又は旅費の一部として充当する予定である。
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