研究課題/領域番号 |
17K04879
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
山本 佐江 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (10783144)
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研究分担者 |
有本 昌弘 東北大学, 教育学研究科, 教授 (80193093)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 形成的アセスメント / ティームティーチング / 専門性発達 / 現職教育 / assessment as learning / 学びの一環としての評価 / 自己評価 / 相互評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「形成的アセスメント」実践モデルとして、特定の教師の授業実践からエッセンスを抽出することと、そのエッセンスに基づく授業デザインを構築すること、およびそのような授業実践を可能にする教師の学習環境について探索することを目的とする。そのため、54年にわたってティームティーチングを柱にして授業実践の研究を積み重ねてきた秋田市立築山小学校を主たる事例の対象として、検討してきた。 その結果、教室の授業実践、教師同士の学び合いの実際、教師の学びを支える学校組織のあり方、学校組織を取り巻く地域や周囲の学習環境について、授業観察やインタビューを通して、以下のような知見を獲得することができた。 アセスメントは、教師のもつ学習観指導観を基盤に、カリキュラムや指導内容、指導方法と一体化しており、絶え間ない教師の学習に裏打ちされて精緻化されていくことが明らかになった。また、教師の評価観は学級文化や学校文化の形成と、教室での学び方に大きな影響を与えていた。アセスメントが、児童生徒の学習の一環(assessment as learning)として、自己評価や相互評価の形で学習の中に埋め込まれ、学習の向上に重要な役割を果たしていることも明らかとなった。さらに、教師同士は少子化の時代を迎え小規模校となり校内研修がうまく機能しない時代になっても、学校間ネットワークを使って専門性発達の向上を図るための現職教育を自前で展開していることが示された。 このように形成的アセスメントの視点からまとめた教室学習と教師の学習との関連について、国際学会にて海外に向け発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)授業分析による研究 (2)「形成的アセスメント」の視点による事例の調査検討 (3)学会等における研究成果の発信という柱立てて実施されている。(1)と(2)では、現時点での授業実践とそれを支える環境についての水平的な視野での考察と、長年にわたる学校での学びの軌跡を追いつつ歴史的に積み重ねられてきた教師の学びについての考察を、多次元でとらえようとしてきた。授業者、管理職、管理職経験及び行政経験のある学校関係者等、多数の研究に関わる人材を得てインタビューを行い、エビデンスとなるデータの蓄積が進んだことが最大の成果である。 (3)では、国際学会での発表の際、海外の研究者や教師の関心を集め、質問を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も続いて、(1)授業分析による研究 (2)「形成的アセスメント」の視点による事例の調査検討 (3)学会等における研究成果の発信の3本柱で研究を進める予定である。特定の学校特定の授業者のみでなく、学校や地域がつくり支える授業という観点まで広げて、授業研究の対象とする学校の枠を増やすことを検討している。また、小学校だけでなく校種も拡大し、小中高と縦のつながりを、カリキュラムとアセスメントの視点で検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を国際学会にて3度に渡って海外に発信してきたが、学会にかかる費用は今年度発表でも前年度に支払いを済ませなければならなかったため。また、平成29年度の研究成果をまとめた報告書を、平成30年度の研究成果と合わせて、報告書にまとめることを予定しているため。
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