研究課題/領域番号 |
17K04885
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研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
中野 啓明 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 教授 (40237350)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | キー・コンピテンシー / 道徳授業 / 相互にかかわりあう / ICT / タブレット端末 / 道徳科 / PISA / 交流場面 |
研究実績の概要 |
平成30(2018)年度は、平成29(2017)年度の研究を基に、以下の研究を行った。 第1に、平成29年度の研究を補完しながら、道徳授業における子ども相互の交流場面での教師の授業方法の分析を行った。具体的には、道徳授業に関する研修会や公開授業等に参加し、道徳授業における「話し合い活動の組織化」「意見交流の組織化」「討論・討議の組織化」という子ども相互の交流場面での教師の授業方法の実際が、「二つの意見」を用いた場合とどのように異なるか、研究協力者と共に分析した。 第2に、子ども用のタブレット端末を概ね2人に1台使用できるように購入するとともに、先行研究に基づきながら道徳授業の意見交流場面におけるICTの活用方法を探った。その上で、平成30(2018)年7月1日に文京学院大学で開催された日本道徳教育学会第91回において「道徳授業における意見交流場面でのICT活用方法の構想」と題した自由研究発表を行った。その際、子ども相互の協働的な学習場面でのICTの具体的な活用方法として、(a) ワークシートに記入したものを写真で撮影し、グループやクラスで共有する、(b) クラウド上のプラットフォームに自分の考えを入力し、グループやクラスで共有する、という2種類の方法が考えられることを明らかにした。こうした研究を基に、「二つの意見」を用いた道徳授業モデルに基づいた意見交流場面でのICTの活用方法を、研究協力者による実験授業を通じて検証した。 第3に、教科書教材に基づいた「二つの意見」を作成するワークショップを開催した。具体的には、小学校では各社の教科書に共通する教材を、中学校では「私たちの道徳」に掲載されている読み物教材を抽出し、3~4人程度のグループで主発問を考えた上で「二つの意見」を作成するというワークショップを開催し、50名程の教職員から参加していただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に、平成29(2017)年度の研究成果を基に、道道徳授業の意見交流場面におけるICTの活用方法の構想を日本道徳教育学会第92回大会の自由研究発表において発表するとともに、その成果に基づきながら、「二つの意見」を用いた道徳授業モデルに基づいた意見交流場面でのICTの活用方法を研究協力者による実験授業を通じて検証することができた。 具体的な検証結果としては、教師や子どもにタブレット端末に関する十分なスキルがなくとも、クラウドに直接写真をアップすれば、クラスでの共有は容易であることが明らかとなった。ただし、今回の実験授業は中学生を対象としたものであり、小学生を対象とするまでには至らなかった。 第2に、教職員を対象とした道徳教育研修会を開催し、教科書の読み物教材に基づいた「二つの意見」を作成するワークショップを行うことができた。主発問を定めた上で「二つの意見」のを作成することを目指したが、主発問と「二つの意見」をどのように関連づけるかといった、作成プロセスを定型化するまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、道徳授業の意見交流場面でのICTの活用方法を実験授業を通じて検証するため、研究協力者に協力を求め、小学校も含めた実験授業を複数回行う。 第2に、ワークショップを複数回開催し、「二つの意見」の作成過程を明確化する。 第3に、デジタル教科書を含む小学校・中学校用の道徳科教科書を可能な限り購入し、実験授業を通じて、教科書教材での「二つの意見」を用いた道徳授業モデルの実践可能性を検証する。 第4に、学会発表等を通じて研究成果を公表すると共に、WEB上で研究成果を発信・共有することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
通信費の一括請求を次年度に行うこととしたため。
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