前年度までに進めた資料収集、オーラルヒストリーの撮影・記録をもとに、伝統・文化教材として、冊子『和田先生と学ぶ白川郷和田家』を作製し、本教材を利用した小学生および担当教員、教員免許状取得を目指している大学生らにアンケート調査を行い、話者である和田氏へのヒアリング等を行い、手引きとしてまとめた。 冊子『和田先生と学ぶ白川郷和田家』は、“白川郷和田家を見学しよう”、“5つのギモン?を調べよう”、“もっと詳しくしらべたい!”の3章に分けて構成し、白川郷和田家当主和田正人氏のオーラルヒストリーとして、世界遺産白川郷や和田家の歴史、和田家の各部屋の説明と話者の子どもの頃の思い出や先人の知恵、現在も守り続けている家や地域への思いを記録した映像を盛り込んだ形でまとめた。また、調べ学習や教員の資料作成への利用ができる情報として、WebサイトやPDFデータへリンクする二次元コードも入れた。 実際に利用した小学生へのアンケートでは、とくに「教材の感想」を求めた設問に対し、話者への親近感が得られたことに加え、放水銃のように現地では普段見ることが出来ないものを映像で視聴できたことへの言及が多くみられた。 教員へのアンケートでは、現地に行く場合の事前事後学習として役立つという意見や文章と映像の相乗効果への評価が得られたが、収録内容のさらなる充実が必要との意見もみられた。本教材は、事前アンケートやヒアリングにより、冊子としてのページ数や映像時間等を少なくし、気軽に利用できることを目指したため、収録内容は限定的であった。しかし、白川郷に関する伝統・文化教育の教材として必要な内容は多く、収録内容の充実については、今後の課題としたい。
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