研究3年次(令和元年度、最終年次)は、2年次に完成した「かかわりの力育成プログラム(スリンプルプログラムとして、単著発刊済み)」を年間を通じて全国各地の協力校にて実践してもらい、その成果と課題を整理した。具体的には、各校を年2~3回訪問し、プログラムの中身である「短時間グループアプローチ」「各授業におけるペア・グループ対話」に関するスーパーバイズ後、管理職・教諭からの聴き取り、プログラムに対する自由記述質問紙調査を元に整理を行った。その結果、(1)児童生徒の変容として「友だちに認められる経験が自尊感情の高まりにつながり、友だちとのかかわり体験が話の聴き方・伝え方等のソーシャルスキルの高まりにつながった」、(2)教師の変容として「教師もまた話の聴き方・伝え方等のソーシャルスキルが高まった」、「全校でのプログラム実践故に教師間の連携も生まれた」、(3)学校不適応(いじめ・不登校)の予防・改善として「予防効果がとても高い」、「不登校の兆候があっても初動ですぐに解決できた」、「子どものソーシャルスキルが上がり、学級全体の安心感が生まれ、不適応抑制につながるのは間違いない」という3観点における成果が認められた。一方、課題としては、「実践推進リーダーの育成とプログラムの正確な伝承」「保健室登校児童生徒に対する応用の仕方」等が挙げられた。3年間の研究を通して得た成果と課題を各地の協力校に伝えるととともに、新たにプログラム実践校を増やし、より良いプログラムへと高める積み上げ・検証を引き続き行っていきたい。
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