研究課題/領域番号 |
17K04893
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
橋本 祥夫 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (50709540)
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研究分担者 |
森 正美 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (00298746)
鵜飼 正樹 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (70192507)
澤 達大 京都文教大学, 総合社会学部, 准教授 (80709501)
寺田 博幸 京都文教大学, 臨床心理学部, 教授 (90709495)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 総合的な学習の時間 / 社会に開かれた教育課程 / 地域協働型学習 / 思考ツール |
研究実績の概要 |
(1) 『宇治学』の学習効果に関する調査 平成29年度の宇治市立全小学校の第3学年、第6学年の児童、宇治市立全小学校長を対象に調査した、「宇治学」副読本を活用した学習をとおしての児童・生徒の変容についての調査に引き続き、平成30年度は同様の調査を小学校の第4学年と中学校第1学年を対象に実施した。昨年度「宇治学」を学んだ児童が、どのように変化をしたのか、また学年で身に付けられる資質・能力にどのような違いがあるのか、特に小学校第6学年と中学校第1学年を比較することにより、小学校と中学校の違いを明らかにし、小中一貫教育を行う上での成果と課題を明らかにしようとした。本調査は、「宇治学」の目標達成及び「宇治学」で育てたい力を児童・生徒に確実に身に付けさせるための授業改善に資するとともに、今後予定している副読本の改訂に活用することを目的に実施した。調査内容は、「『宇治学』の目標と育てたい力」の評価観点の達成状況について、学校の教育活動や地域との関係について、 「宇治学」副読本を活用した学習の「事前」と「事後」での児童・生徒の変容についてである。調査方法は、児童・生徒用質問紙調査及び学校質問紙調査により実施した。調査校は、研究協力校の小学校2校と中学校2校、調査協力校の小学校2校と中学校2校であり、合わせて小学校4校、中学校4校で抽出調査を実施した。 (2) 研究協力校のアクションリサーチ 宇治市内の小学校2校と中学校2校の計4校を研究協力校に指定し,大学教員(研究アドバイザー)がそれぞれの学校の担当となって実施した。研究協力校の研究に関わり,助言を行い,宇治学実践上の課題や方法などを明らかにした。 (3) 研究成果をまとめた一般書籍の刊行 これまでの研究成果を基に、地域社会の一員としての自覚を持ち、主体的,協働的,実践的態度を養うことが可能な「地域協働型学習モデル」を提示する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「宇治学」の学習効果に関する調査、研究協力校のアクションリサーチなど、研究計画の内容はほぼできている。第1期の小学校第3学年と小学校の第6学年の質問紙調査の分析をし、研究成果を学会発表及び研究論文として発信した。さらに、第2期の小学校第4学年と中学校第1学年の質問紙調査を実施した。 成果としては、宇治市全市の小学校に質問紙調査を行い、「宇治学」実践の検証を行うことができたということである。資質・能力と関連する生活習慣・学習習慣があり、それは資質・能力によって違いがあること、資質・能力によっては、複数の生活習慣・学習習慣と関連があることが分かった。本研究では、資質・能力と生活習慣・学習習慣の関係を明らかにすることにより、どのような生活習慣・学習習慣を身に付けさせることで、どのような資質・能力が身に付いたと考えられるのかを示すことができた。コンピテンシー・ベースの学習指導要領となり、全ての教科・領域で資質・能力の育成が求められる中、本研究は、資質・能力の育成と評価について、示唆を与えるものとなった。 課題としては、本研究は、資質・能力と生活習慣・学習習慣、学校・地域の特性の関連を一般化するまでには至っていない。第3学年と第6学年では異なる結果が出ている。発達段階や学習内容の違いによって関係性は異なる可能性がある。継続的に調査をし、データを集積することによって一般化を図る必要がある。 科学研究費助成事業が終了後、研究成果をまとめ、出版化する予定だったが、学内の出版助成を受け、今年度出版に向けて研究成果を整理し、執筆をすることができた。次年度に出版予定である。地域住民への調査の実施が課題だったが、出版をすることになり、「宇治学」に関連する地域住民や関係団体にも執筆を依頼したことにより、本研究の成果を幅広く集約してまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
・研究協力校によるアクションリサーチ(研究協力校の役割,アドバイザーの関わり方の検討)、教員研修会の実施、「宇治学の学習効果に関する調査」に調査結果報告、宇治学指導者講座、実践交流会 ・市民に向けての情報発信ー宇治学出版記念宇治学フォーラムの実施 ・「宇治学」の学習効果に関する調査ー調査結果のフィードバック(研究協力校及び調査協力校) ・2019年度質問紙調査 サンプリング調査(事後)ー対象 5,8,9年、実施校ー2018年度と同じ学校に前年度調査の報告とともに依頼。 ・宇治学実施状況調査ー全市の小中学校で実施、各学年の実施状況について調査
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査が依頼していた学校の都合で年度末実施となり、予算執行が次年度となった。したがって、次年度に、前年度実施分の質問紙の調査費用を計上することになる。また、それに関連して、2年次の年次研究成果報告書が年度内に作成できず、3年次に2年次の年次研究成果報告書を作成することになった。 次年度使用額773474円は前年度分の質問紙調査費用と年次研究成果報告書の作成費用に使用する予定である。
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