最終年度の令和5年度に取り組んだ研究は、本研究の目的に沿った保育者養成教育の「教育内容」に関連する研究である。具体的には、1938年(昭和13年)に東京女子高等師範学校附属幼稚園内にあった日本幼稚園協会によって発行された「観察の実際」、及び最初の「幼稚園教育要領」が示された直後の1957年(昭和32年)にお茶の水女子大学附属幼稚園にあった幼児教育研究会が編者となり発行された「改訂 幼児の教育内容とその指導 -教育計画の実践-」の保育実践に関する記述から、「科学概念・規則性・法則性」に関連する内容を抽出して分析を行った。結果、それらの記述には、米国における幼稚園・小学校低学年を対象とした科学教育に関するテキスト「Science Experiences for the Early Childhood Years」に示されている科学概念と共通する内容が記述されていることが確認できた。 研究期間全体の成果を以下に述べる。 コロナ禍によって研究計画の変更を余儀なくされ、次のように変更して取り組んできた。①本研究の目的に沿った「教育内容」を明らかにする。 ②海外文献を中心に分析して「保育者に必要な力」を明らかにする。 ③申請者の研究成果、コロナ禍における遠隔授業の効果等から、「教育方法」を検討する。 ④上記の①から③までの検討結果を総合して「ミニマムスタンダード」を設定する。 ⑤設定した「ミニマムスタンダード」による教育方法の検討を行う。 ⑥開発した教育方法で実践を行い効果の確認を行う。 ⑦すべての結果をまとめて、教育の在り方として提案する。しかしながら、最終年度に取り組めた研究内容は前述の通りであり「教育内容」の検討に留まった。 結果として研究期間全体を通して検討できたのは、「教育内容」と「教育方法」に関する内容であった。よって、研究成果の最終報告はそれらの知見をまとめて報告とする。
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