研究課題/領域番号 |
17K04902
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研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
林 武広 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (50116646)
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研究分担者 |
土井 徹 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (60782125)
磯崎 哲夫 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90243534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 現職教員研修 / 連携授業 / 土石流 / 津波 / モデル実験 / 小学校 / 防災教育 |
研究実績の概要 |
29年度の研究として,まず28年度に企業の科学専門家が小学校16校において理科のゲストティーチャーとして授業を行った学級の担任教師対象に現職研修としての有効性を分析し,児童,教員とも理科が日常生活や社会に役立っていることの理解が深まったこと,実験の扱いや進め方が今後の参考になったとの結果が得られた(日本理科教育学会学会67回全国大会で発表)。次に林が27-28年度に小学校17校で現職研修として行った土砂災害に関する示範授業の結果を詳細に分析した結果,教師が参考になったこととして,実験装置,写真・動画,講師の説明が卓越していることを明らかにした(日本災害情報学会第19回学会大会で発表)。 次に中学校及び高校理科の教科書(主要3社)における防災に関する内容を自助,共助,公助の点から検討し,公助に関する記載は分量が多いが,その有効性や限界への具体的言及は十分ではないこと,共助についての記載が乏しいことなどを明らかにした(論文執筆)。さらに,林が所属する比治山大学とインドネシアの大学の教員志望学生対象の防災・環境意識を比較検討した結果,災害に関する知識や関心は高くないことが明らかとなった(論文執筆)。また林が28-29年度に行った上記の土砂災害に関する示範授業で連携した担任教師数名を選定し,林と土井(分担者)が直接インタビューを行い 結果をSCAT法で解析した(30年度に発表予定)。さらに,林がインドネシア,バンジャラヌガラ市を訪問し,現職教員研修としてモデル実験を交えた土砂災害の研修及び2大学の学生対象に自然災害に関する講義を実施した。それらの効果検証のため参加者には質問紙調査を行い,現在,解析中である(30年度中に発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの概ね計画通りであるが,データ解析に手間取ったために29年度中に予定していた国際学会での研究成果の発表が未完となった。また,富山市での現職研修についても,分担者の土井が大学に赴任したのが28年4月であったため地域との関係構築に時間を要したため予定よりやや遅れている。一方,海外展開については,当初予定はインドネシアであったが新たにフィルピンにおいてもマニラのサントトマス大学の研究者と連携して研究が可能となった。なお分担者の磯崎については,予定通りの成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として29年度までの成果を国内学会及び国際学会で発表する予定としている。30年度では29年度までに主たる研究フィールドとしてきた広島市に加え,富山市をフィールドとしてセットアップするよう準備を進めている。代表者及び分担者(土井)が土砂災害及び津波災害それらの発生要因と災害への対応に関するリテラシー向上を目標にモデル装置を駆使して示範授業を実施する。それぞれ示範授業参観の教師を対象に質問紙及びインタビュー調査を行い,両フィールド間での結果を比較検討する。さらに国際展開として当初より計画しているインドネシアに加え,新たにフィリピンの大学の研究者(マニラのサントトマス大学,30年2月に提案了承済)と連携して研究することが可能となったので,両国を対象に共通の質問紙による現職小学校教員の防災リテラシーの状況調査とそれぞれの課題を踏まえた効果的研修の方途を検討していく予定である。なお,インドネシアのフィールドでは,30年度中に分担者の磯崎が出向いて教員研修について調査を行う予定としている。31年度にかけて両国において現職教員対象の防災ワークショップ等の研修を試行的に開催し,効果を検証したいと考える。その後,日本のケースも併せて結果の比較検討も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者の国内旅費と外国旅費が予定より安価で実施できたこと。謝金については業者への委託経費として支出したために余剰金が発生した。なお。これらの余剰経費は,今年度の海外調査旅費に使用する予定である。
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