研究課題/領域番号 |
17K04902
|
研究機関 | 比治山大学 |
研究代表者 |
林 武広 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (50116646)
|
研究分担者 |
土井 徹 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (60782125)
磯崎 哲夫 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90243534)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 防災リテラシー / 小学校教員 / 土砂災害 / 流水の作用 / インドネシア / 教員研修 |
研究実績の概要 |
研究期間が再延長となったR3年度は海外と交流が困難であったため国内において解明が十分でなかった内容に焦点を当てて研究を進めた。R3年度もR2年度に続いて流水に関わる災害(土石流,津波,洪水)の再現実験と災害映像視聴を取り入れた連携授業を小学校10校(対面と遠隔),中学校1校(対面)で実施した。年度後半の12月までは学校対象の対面対応はある程度できたが,1月からは遠隔方式のみの対応となった。本連携授業は科研費R2年採択の課題(基盤(C),20K02840,主担者:林武広)における研究も兼ねて実施した。年度末のR4年3月まで研究データとして全ての実施校の児童・生徒及び担任教師からのコメントの収集を終え,その処理のためのデータ入力も終えている。連携授業で行った実験や説明が「参考になった,勉強になった」との教師からのコメントが多く,本連携授業は小学校教師の防災リテラシーを高める現職研修として有効であることが改めて確認できた。 なおR元年度に実施した小学校での土砂災害に関する連携授業を受けた児童334名対象に行った自由記述よる質問紙回答の詳細なテキスト分析結果に基づく防災認識の変容についての論考を分担者2名と共著で令和3年5月初旬に日本地学教育学会誌「地学教育」防災教育特集号に投稿した。その後,3回に渡る査読意見を参考に新たな視点で詳細なテキスト分析を行った結果,実験や災害映像の視聴を通して流水の作用そのもの及び流水が関わる土石流や洪水・津波災害への理解深化とそれらへの防災意識が高揚したことが改めて確かめられ,連携した担任教師のコメントを裏付ける結果が得られた。これらをもとに原稿を修正し再投稿した結果,R4年5月24日付で受理された(75巻1号に掲載予定)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の研究期間は平成29―令和(R)元年であったがR元年度末頃からの新型コロナ感染拡大のためR3年度までの期間延長が認められた。R3年度の研究はこれまで延期した海外渡航調査,及び小学校での連携授業参観に基づいた検討を予定していたが,R3年度においても前者は実施不可能,後者も困難な状況であった。そのためさらにR4年までの延長を再度,申請し承認された。
|
今後の研究の推進方策 |
本課題を開始した平成29年度から行っている教師へのインタビューの分析結果と教師対象のアンケート(各年度,学会等で発表済)結果のうち,特に前者に注目して総括し,小学校教師の防災リテラシーの課題とその向上方略についてR4年度に学会等で報告する予定である。 R元年6月にインドネシア,バンジャラヌガラで教員の防災リテラシー向上を目的とした現職教員研修を行っており,R2年度に2回目の研修を計画していたが新型コロナ対応のため,その後実施できていない。オンラインでの講義や研修のための機材・方法はR3年度までに整備済であり,R3年にインドネシアの大学生対象のセミナーで円滑な利用が確認できた。従って可能であればオンラインでの教員研修をR4年度内に実施し,成果を上記の成果と併せた形で論文発表したいと考えている。オンライン研修が実施困難な場合は,上記研修のアンケート解析結果のみで成果を論文発表したいと考えている。
|