2020年度に全貌を現す中華人民共和国の国定道徳教科書について,日本の小学校8社,中学校8社の検定済み道徳教科書と比較し,生命尊重を軸に,自己肯定感育成について検討した。成果は,1.上海での教員中心の研究会基調講演,2.日本道徳教育学会広島大会発表,3.「中華人民共和国の国定道徳教科書における生命尊重」の論考になり,日本の道徳教科書について自己肯定感への総合が必要だと論じた。同方向は,4.映画を使う総合的な学習において,生命教育から自己肯定感を育成できるとのAPNMEでの発表でも一貫している。また自己肯定感測定の臨床技法である連想法について,5.異なる母集団での連想マップの様相の異動,6.技能習熟と意識・態度との関係の基礎研究発表を行い,以下の成果を得た。〇Using a Movie to Enhance Students’Self-Affirmative Consciousness and Their Respect for Life(単著)のAPNME(アジア太平洋道徳教育学会)発表,2019年6月バリ島〇連想法を用いた授業評価の母集団に対する依存性(共著),日本情報科教育学会(JAEIS)第12回全国大会,2019年7月,pp.15-16〇生命教育の方向:子どもの自己肯定感への総合,中日生命教育教学交流検討会での講演,2020年1月上海〇タイピング打鍵数とExcel機能の習熟との関連(共著),画像電子学会研究会画像電子学会第292回研究会,2020年2月,pp.35-38〇中華人民共和国の国定道徳教科書における生命尊重(単著)長崎総合科学大学紀要 第60巻第1号,2020年6月,pp.1-33 以上を踏まえて,7.子どもの心の回復(レジリエンス)の道徳授業を熊本県玉名市中学校2年生で2回実施し,8.成長の力を宿す龍の道徳授業を長崎市の小学校5年生で実施,それぞれ子どもの自己肯定感を育成した。総じて,日中教科書比較は日本の道徳科教科書改善提言に,また3つの新しい授業実践につながる大きな成果を得た。
|