中華人民共和国(中国)は,多綱多本の時期に16種類ほどあった道徳教科書を,2017年9月から小・中学校で国定教科書一種類に集約し, 2020年に完成予定である。その記述について,生命尊重や自己肯定感を軸に,政治の動きや授業実践を含めて論じた。そして中国国定道徳教科書は,個人のケアを視野に入れて記述するが向-社会的あるいは国家的であり,個人を社会や国家と関わる意味ある生き方へと促す,と結論づけた。比較して日本の道徳教科書は,公共性を要請しながら個人の内面のふり返りによって充実した生を語る,とした。さらに,民主主義の基盤である自己肯定感を育む道徳授業をどう構成すべきか,道徳授業実践を展開した。
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