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2021 年度 実施状況報告書

TeX環境による工学系数学のグループワーク型授業に対応した次世代型教材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K04907
研究機関都城工業高等専門学校

研究代表者

友安 一夫  都城工業高等専門学校, 一般科目理科, 教授 (10332107)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワードTex / アクティブラーニング / ブレンド型授業 / 反転授業 / グループ学習 / ICT / 工学系数学 / 高専数学
研究実績の概要

R2 年度はコロナ禍の影響もあり,都城高専ではオンデマンド型の遠隔授業を実施した.研究代表者は,Beamer による授業ノートと授業毎のYouTubeへの動画を配信する方法で本校におけるオンデマンド型遠隔授業を実施した.R2 年度においては,基礎数学, 微分積分学(1変数),微分方程式の 3 科目において上記の対応を通年で行った.R3 年度では,R2 年度のオンデマンド型遠隔授業の配信を引き続き行い,基礎数学, 微分方程式の 2 科目においては,上記教材のブラッシュアップを行い,さらに微分積分学(2変数)の科目において,新たにBeamer による授業ノートと授業毎のYouTubeへの動画を配信を行った.
また,R3年度においては,これまでの研究期間中に研究代表者が本校で種々の授業を行いながら,授業内容の劣後順位付けや知識のデリバリ・スキルの留意点の Tips を蓄積し,その知見をサイエンス社から R4 年度に出版予定である高専数学テキストシリーズの線形代数[第2版]の原稿の執筆に生かすことができた.
あと,R2 年度実施のオンデマンド型遠隔授業の教育効果について,教育効果に関して詳細な検証し, その研究成果を第103回全国算数・数学教育研究(埼玉)大会において,「オンデマンド型遠隔授業と対面授業の教育効果の比較」のタイトルで口頭発表した.さらに,ここで発表した結果を数学教育論文「Beamer と YouTube によるオンデマンド型遠隔授業の教育効果 」としてまとめ,城西大学数学科数学教育紀要に投稿し,掲載された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

H29年度からH30年度においては,高専1年次におけるグループワーク型の数学補習体制について,日本数学教育学会と数学教育学会において口頭発表し,その内容を教育論文としてまとめ,都城高専研究報告紀要に投稿し,掲載された.
R1年度においては,部分分数分解の計算法としてヘビサイド法を用いたときの教育効果,すなわち講義内容の劣後順位付けと知識のデリバリ・スキルの留意点の一例,の検証結果について,日本数学教育学会で口頭発表した.
H30年度には,サイエンス社から高専卒業後に大学へ編入を目指す学生のため,自学自習可能な「大学編入試験問題集」の執筆依頼があり,本研究で得られた幾つかの知見を担当原稿に反映し,R2年度に出版された.
R2 年度は,Teams 上でオンデマンド型遠隔授業を実施し,Beamer による授業ノートと授業毎のYouTubeへの動画を配信することでICT に特化した教材と動画の配信を行った.また,ここで得られた知見を第3回数学教育セミナー「TEXによる教材作成」において,「遠隔授業におけるBeamer を活用した授業ノートの教育効果」のタイトルで口頭発表を行った.R3年度においては,R2年度における検証結果を深化させ,第103回全国算数・数学教育研究(埼玉)大会において,「オンデマンド型遠隔授業と対面授業の教育効果の比較」のタイトルで口頭発表した.さらに,その発表内容を数学教育論文「Beamer と YouTube によるオンデマンド型遠隔授業の教育効果 」としてまとめ,城西大学数学科数学教育紀要に投稿し,掲載された.
ただ,ICT で共有可能な教材に関して,最近では種々の方法が提示され,工学系数学の授業で有効なICTで共有可能な教材あるいはアプリについて,検証の必要性が生じており,その点に関しては研究の推進が滞っている状況である.

今後の研究の推進方策

R2年度より高専数学テキスト(サイエンス社)の改訂版の執筆が始まり,基礎数学はR3年度に出版された.R4年度は,線形代数の執筆が最終段階を迎えており,並行して,今年度から微分積分の執筆も始まり,まず高専数学テキストの執筆に集中する予定である.
次に,本研究はICTで運用可能な次世代型教材の開発に焦点を当て,研究を進めてきている.R2 年度より,オンデマンド型の遠隔授業の実施を Beamer による授業ノートと授業毎のYouTubeへの動画を配信することでICT に特化した教材,及び反転授業に転用可能な動画の配信を行っている.本年度は,線形代数や確率統計に関する教材の作成および配信を計画している.
加えて,研究代表者は以前より微分方程式の自著テキストの原稿を書き溜め,出版する方向で加筆修正を行っている.ただ,工学系の微分方程式の教科書は類書があふれており,差別化することが出版できるかどうかの試金石となっている.この点において,Mathematica等の解析ソフトウェアで微分方程式の理論解や数値解等を簡単に求めることができる現在,工学系数学の範疇で,微分方程式を理解・応用していくために本質的な知識の劣後順位付けを全く新しい視点で考究する計画であった.しかし,コロナ禍の影響が継続しているため,研究打ち合わせができず,加えてオンデマンド型遠隔授業の準備に多くの時間がとられ,現時点では原稿執筆の進捗が遅れている.ただ,今年度からはこの微分方程式のテキストの原稿執筆を本格的に始動する計画である.
さらに,小テストや定期試験以外の試験にマークシート試験等を導入することで,学生の理解状況の統計的な分析を推進し,データ駆動系教育の基盤構築及び環境整備も今年度は計画している.

次年度使用額が生じた理由

R2~R3年度はコロナの感染拡大の収束の見通しがつかず,研究集会は ZOOM によるオンライン開催となり,研究打ち合わせ旅費を使用する機会がなくなってしまった.さらに,個人的な研究打ち合わせに関しても対面での実施が難しい状況となり,R1年度から3年間,研究打ち合わせのための旅費に関しては,当初予定したものはほぼ実施できない状況となった.加えて,コロナ下におけるオンデマンド型遠隔授業の準備が想定以上の繁忙を極め,研究計画に従って,研究費の使途の計画変更を十分に練るための時間的な余裕もなかったことにより,最終的に研究費の残が生じてしまった.
R4年度もコロナ禍の状況は相変わらずの状況ではあるが,コロナウィルスに対する社会全体の認識の変化もあり,今年度以降はコロナ禍が継続する状況であっても,対面での研究打ち合わせや時期によっては対面での研究集会も開催される方向と思われる.このため,ここ3年間,推進できていなかった共同研究者との研究打ち合わせ等を推進することで研究費の残を計画的に執行する計画である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Beamer と YouTube によるオンデマンド型遠隔授業の教育効果2022

    • 著者名/発表者名
      友安一夫
    • 雑誌名

      城西大学数学科数学教育紀要

      巻: 3 ページ: 44-55

    • 査読あり
  • [学会発表] オンデマンド型遠隔授業と対面授業の教育効果の比較2021

    • 著者名/発表者名
      友安一夫
    • 学会等名
      日本数学教育学会 第103回全国算数・数学教育研究(埼玉)大会:高専・大学部会
  • [図書] LIBRARY 工学基礎&高専TEXT 基礎数学[第2版]2021

    • 著者名/発表者名
      新井達也,五十川読, 上松和弘,奥村昌司,友安一夫,中村元,西川雅堂,濱田さやか,南 貴之
    • 総ページ数
      245
    • 出版者
      数理工学社/サイエンス社
    • ISBN
      978-4-86481-078-4

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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