研究課題/領域番号 |
17K04911
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
村上 由則 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (90261643)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害理解 / 病弱教育 / 教材開発 / 特別支援教育教員養成 |
研究実績の概要 |
1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善 29年度は、教材作製の対象を教員の指定する疾患(腎疾患・糖尿病)とし、またデータベース使用を「教材ライブラリー」に限定して授業を展開した。学生はライブラリーを参照しつつも、その内容に拘束されることなく、各学生グループのリサーチに基づく疾患・障害の困難や治療等の教材化を試みている。また、学生グループ内のディスカッションや、インターネットを中心とした各種の情報リソースへのアクセス、最終報告のためのプレゼンテーションも活性化する状況が確認された。これらの結果から教材作製を中心とした授業におけるクラウド・データベースの活用は、学生の興味やリサーチの動機付けを高めるための入り口になると想定される。一方、授業評価に活用するアンケートシステムは構築を完了した。教材活用を中心とした授業において試行し、実用性を検証した。 2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す「自作可能教材」と「場面状況教材」の開発・充実 29年度は、アレルギー性疾患のメカニズムについての「自作可能教材」を検討した。アレルギー反応の基盤である免疫過程は「カギ」と「カギ穴」の仕組みに例えられ、そのモデルを援用した摂取物質の「選択的吸収・排除」とその困難を擬似的に可視化したものである。突起のあるボール等のオモチャや磁石を用いて「カギ」と「カギ穴」の結合と排除、結合した結果としてのマスト細胞に見立てた風船の破裂と、風船に予め詰めていた化学伝達物質に見立てたビーズ等の放出といった、アレルギー反応を模した一連のプロセスにより発赤等のさまざまな症状の発現を疑似的に示す教材が複数提出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善」に関しては、授業において学生が作製する教材の対象疾患を、「教材データベース」のコンテンツの中から、担当教員が指定しての教材開発に関する授業を展開した。その結果、学生の疾患等の知識・理解については改善が見られるとともに、「教材作製」が「疾患・障害の理解」「学修満足度」「教材を自作する意味」などに与える影響の検討を開始することができた。評価用テスト・アンケートのWebシステムは完成し、試行的に活用し効果を検証した。
「2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す『自作可能教材』と『場面状況教材』の開発・充実」に関しては、アレルギー性疾患群を対象してメカニズムの可視化と自作可能な教材について検討した。プロトタイプモデルに基づく作製と改良を実施、免疫寛容に至るプロセスも示す教材も開発提示することができた。
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今後の研究の推進方策 |
「1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善」に関しては、「教材データベース」のコンテンツの中から、担当教員が特に指定することなく、学生がクラウド・データベース内から対象疾患・障害を自由に選択しての教材開発に関する授業を展開する予定である。
「2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す『自作可能教材』と『場面状況教材』の開発・充実」に関しては、重度運動障害を対象として微細な運動出力を「コミュニケーションの媒体として活用する際に生じる困難を対象とする「場面状況教材」の開発と改良に関する検討を行う予定である。
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