研究課題/領域番号 |
17K04911
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
村上 由則 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (90261643)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害理解 / 病弱教育 / 肢体不自由教育 / 教材開発 / 特別支援教育教員養成 |
研究実績の概要 |
1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善:30年度は,学生が作製する教材の対象疾患等を担当教員が「教材データベース」のコンテンツから指定せず,学生がグループ毎に自由に選択した。選択する対象疾患等には偏りが見られたが,作製した教材は各グループ毎の個性が際立った。ここからデータベース・コンテンツを参照しつつもモノを作製する活動が,情報探索や議論といったアクティブラーニングを引き起こすことが示唆された。Webアンケートシステムについては,授業の客観的評価に活用し得る点を検証した。 2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す『自作可能教材』と『場面状況教材』の開発・充実:微細な運動出力を「コミュニケーションの媒体として活用」する際の困難を対象とする「場面状況教材」の開発・改良に関する検討を行った。障害者役・支援者役のロールプレーを行い,意図的動作可能な身体部位の不明状況下でのコミュニケーションの試行錯誤と,支援者役の混乱・困惑と障害者役の無力感・不安を体験する場面状況教材が提案された。コミュニケーション成立に至る過程は,要因が複雑多様で,教材として確立するためには,分析・整理する必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善」に関しては,作製する教材の対象疾患等を教員が「教材データベース」コンテンツから指定せず,学生がグループ毎に自由に選択する形式の授業を実施した。教材は各学生グループが,データベース・コンテンツを参照しつつ,情報探索・議論といった主体的活動を展開することが示唆された。構築したアンケートシステムについては,「無記名」の機能により授業客観的評価に活用し得ることが明らかとなった。 「2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す『自作可能教材』と『場面状況教材』の開発・充実」に関しては,重度運動障害者を想定し微細な運動出力を「コミュニケーションの媒体として活用する「場面状況教材」の開発・改良に関する検討を実施した。障害者・支援者のロールプレー的要素を取り入れ、「不安」「困惑」を体験する場面状況の教材化も試みた。その結果,コミュニケーションのための要因が複雑多様で,十分な教材として確立するためには,さらなる検討が必要なことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
「1.クラウド・データベースを活用した授業形式・方法の検証と改善」に関しては,Web上に構築している「画像データベース」「教材ライブラリー」「Eラーニング・コンテンツ」を参照しつつも,特定の疾患等を教員が指定せずに,学生の自由な選択による教材作製を行う授業の展開を継続する。 「2.病弱児・肢体不自由児の困難理解を促す『自作可能教材』と『場面状況教材』の開発・充実」に関しては,障害者・支援者のロールプレー的要素を取り入れつつ,複雑多様なコミュニケーション成立要因をある程度整理した教材構成を試みる。
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