研究課題/領域番号 |
17K04913
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊谷 恵子 筑波大学, 人間系, 教授 (10272147)
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研究分担者 |
川間 健之介 筑波大学, 人間系, 教授 (20195142)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 算数困難 / 計算の初期学習 / 計算困難 / くり下がりのあるひき算 / 図形学習 / 図表作成 |
研究実績の概要 |
算数困難のある子ども達に対して、算数の初期の学習でつまづかせないことが重要である。そのため、小学校1年生11月ごろまでに完了するたし算、ひき算(含:くり上がりのあるたし算、くり下がりのあるひき算)という計算の初期学習のところにおいてどのような基礎学習が必要であるかを検討した。小学校2校の1年生を対象として、5の合成分解の学習を朝自習の時間15分の中で行った。小学校1校は、担任教師に対して伝達講習を行い、9月~12月に担任教師が実施した。もう1校は、11月~2月に、朝の時間等を使わせてもらい、研究協力の大学生・大学院生に1年生に対して直接指導を行った。 指導内容は、①5の補数、②4までの数、③5といくつ、④10の補数、⑤たし算一覧表、⑥ひき算一覧表(①~⑥は15分程度で行える)、⑦くり上がり、⑧くり下がり(⑦、⑧は45分ずつかかる)の8つである。これらの指導を行った結果、行わなかった学級と比較して、くり下がりのあるひき算において有意に効果的であった。これらについては、ICT活用、活用しなくてもできるような指導内容を開発した。 また、中学校に協力をいただき、ICT活用授業を中学校の数学の図形の学習の中で実践した。図形はノートに書くとそれをいじることはなかなか難しいが、東京書籍で用意しているアプリを使用して、iPad上で、四角形の4点を自由に動かすことができるような状態で「相似な図形」において「中点連結定理を利用した証明」の学習を行った。ICTを活用すると、実際に自分たちでいろいろな位置に頂点を移動させたりすることができるために、タブレットの画面上で実験的に操作することができるために有効であった。また、中学校の学習で、算数困難な生徒にとって、数学的な要素が多くあるような技術科の授業においても活用のメリットとして、図表の作成や発表型式などで工夫ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中学校教員に対する調査は行ったが、論文化が遅れている。 また、一般のクラスにおけるICT活用授業の実践は行っているが、知的能力の測定を踏まえて、どのようなタイプの子どもにどのような学習を行うかの検討はまだ行っていない。2019年度はそこに焦点を当て、精力的に研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
算数困難の子ども達を対象とした学習内容は、ICTを使わなくても普段の授業で簡便に使用できるような形も考える必要があると、2018年度の授業実践で考えた。そこで、ICTを活用した方がいい場合とそうではない場合の2点を比較検討していく必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力校を十分に選定できなかったことが大きかった。 今年度は、最終年度であるため、肢体不自由特別支援学校において、調査研究を行うとともに、これまでの成果を国際学会で発表し、さらに、ICT活用の手引きなどを作成するつもりである。
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