研究課題/領域番号 |
17K04913
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊谷 恵子 筑波大学, 人間系, 教授 (10272147)
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研究分担者 |
川間 健之介 筑波大学, 人間系, 教授 (20195142)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肢体不自由 / 算数課題 / 四則演算 / 中学入門期算数 |
研究実績の概要 |
一般に学習障害があり教育相談室等に来談する人は、同時優位の傾向が高い。一方で、肢体不自由のある児童生徒は逆の継次優位の児童生徒が多い。そこで、本研究では、肢体不自由特別支援学校小学部生1~6年生および中学部生1~3年生に協力を仰ぎ、4種類の算数課題を実施し、課題に対する反応について検討した。 算数課題は、windows タブレットにて一画面の提示時間5秒で自動的に計算問題が次々と提示されるようにしたものであある。1課題あたり15~20分程度で行えるものであった。 算数課題1はドット計数課題で、1~6年生20名に行った。正答率および反応時間の相関分析を行った。通常の学級の児童の成績と比べると、肢体不自由児童は、反応時間が長い傾向があった。算数課題2は10までのたし算・ひき算および答えが20までのくり上がりのあるたし算および被減数が20までのくり下がりのあるひき算の4種類の計算課題から構成された。小学部1~4年生12名に対して実施した。10までのひき算および被減数が20までのくり下がりのひき算は、正答率において低い群と高い群の2群に分かれた。算数課題3は、かけ算・わり算を中心とした計算課題であり、小学部3~6年生の16名に対して実施した。かけ算の習得は高かったが、わり算については、正答率の分散が大きかった。算数課題4は、中学入門期の課題であり、小学部6および中学部1~3年生26名に対して実施した。課題の種類で正答率と反応時間の相関分析を主として行った。中学入門期の算数課題は、通常の学級で行った場合と比較して、全体的に反応時間が長かった。また、少数と分数の変換という数概念に関係する課題や、工夫する計算という計算式の全体を見なければできないものの正答率が全体的に低かったことなどが明らかとなった。 今後は、実施可能な児童生徒に対しての知能検査の結果も含めて、詳細に検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育相談に来談する児童生徒とは、認知特性のアンバランスな特徴が反対の児童生徒たちの計算の特徴について検査することができたため、今後はそれらの特徴を踏まえた指導方法を提案し、指導を実施、指導経過等を分析することとなる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、肢体不自由特別支援学校児童生徒の結果を踏まえて、これらの児童生徒に対してICTを利用した指導を行い、その指導方法と指導経過、指導結果とともに分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染症に伴う緊急事態宣言の発出等があり、対象となる児童生徒への直接指導、指導方法の検討ができなかったために、当初想定していた対象校への旅費等の執行がされなかった。 令和3年度は最終年度となるため、データとりまとめの人件費、かけ算・わり算のドリル作成および報告書等の作成のため必要となる経費を執行予定である。
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