2023年度は、知的障害特別支援学校において、いかにろう重複障害児支援の体制構築ができるかに焦点を当て、調査を行った。2020年度より継続的に調査を実施している群馬県内のろう重複障害児の学校への調査を再度行い、学級担任のほか、新たに学部主事へのインタビュー調査を行った。そのなかで、他校へ異動した当時の小学部主事が支援体制構築の状況を把握していることが明らかとなったため、その元・小学部主事へインタビュー調査を行った。教員側の視点の資料批判の観点から、初めて、対象児の保護者に対するインタビューを行い、出生から就学前の療育、就学後の対象児の様子や保護者の要望や見方についてのデータを得た。これらの調査により、知的障害特別支援学校で、ろう重複障害児支援を充実させるための体制構築の工夫について、研究成果をまとめることができるようなデータの集積が完了した。 さらに、これらの知見を整理するための補完的データとして、ろう重複障害児が多く在籍し支援を行う埼玉県内の聾学校の地域支援部へのインタビュー調査も行った。これが、知的障害特別支援学校に在籍するろう重複障害児に対して地域支援を行う聾学校側の視点から、知的障害特別支援学校においてろう重複障害児支援の体制を構築するための工夫について明らかにするようなインタビューとなり、群馬県の事例において得られた知見を強化するようなデータを得ることができた。 埼玉県での調査が年度末であったため、データ分析中であるが、これらの成果を研究成果として論文等にまとめる予定である。
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