(1)日本版マクロスキー実行機能尺度(McCloskey Executive Function Scale:J-MEFS)適用研究:【時期】2021年6月-2022年3月【目的】J-MEFSで算出される得点の種類の適否の検討、結果表示方法の改良、臨床像と結果の整合性の確認、解釈指針の整理を目的とした。【対象】3小学校、2中学校、2専門機関の指導者10名が実行機能に何らかの困難があると判断した小中学生15名を指導者、担任、保護者、本人の2-4名が評定した。【方法】評定から2-4週間後に研究総括者が結果に基づき、実行機能の特性や日頃の様子との関連、主訴解決のための対応指針を説明し、実態との合致度などについて意見を求めた。15名中8名は対応指針を指導に取り入れ、3-4ヶ月後の経過報告を求めた。【結果と考察】①J-MEFSの結果と普段の様子は整合的だが、結果情報の精選が必要。②同性同学年集団内の位置を示すパーセンタイル順位よりも分類記述の方が分かりやすい。③保護者は幅を持たせた数値の解釈が難しい。④評定者間のずれは実態理解と指導方針の検討に役立つ。特に子どもの自己評価は参考になる。⑤解釈のための理論面の強化が必要。 (2)尺度の見直しと完成:適用研究結果を踏まえ、①パーセンタイル順位は分類記述を併用して教師のみに採用する。②保護者データの代表性を考慮し、標準化せず質的分析に留める。③子ども用尺度は教師や保護者と比較しやすいよう6段階評定に変更する。④結果のレイアウトを見やすくする。 (3)信頼性・妥当性検討:コロナ対応で多忙な学校現場に配慮し、データ追加収集は行わず、収集済データを分析し、原版と同様の心理測定学的特性を確認した。 (4)J-MEFSマニュアルの作成:原版MEFSのマニュアルを参考に教師用J-MEFSのマニュアルを作成した。解釈章はJ-MEFS仕様に改良する必要がある。
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