研究課題/領域番号 |
17K04922
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
菅野 敦 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (10211187)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 知的発達障害 / ライフステージ / 生涯発達支援 / 支援プログラム / 支援課題 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、ライフステージ別の支援課題についての調査研究に取り組んだ。障害者相談支援事業所4159箇所に調査票を配布し、1076箇所から回答があった(回収率25.8%)。相談事例件数は2891件であった。 結果、「学習・余暇支援」「自立生活支援」「作業・就労支援」「コミュニケーション支援」「健康支援」の5つの領域に関する実態が明らかとなった。学習・余暇支援領域では、「転学」に関する相談の6割が小学校段階で、「アセスメント」「学習の遅れ」「サービス利用」の相談も同様に多く見られた。中学校から高校段階では「不登校」の相談が多く見られた。成人期ではこの領域の相談件数は少ない結果であった。自立生活支援領域では、家族や経済の相談が継続し、ADLに関しては10代で獲得、2、30代で維持の問題に変化した。作業・就労支援では、高校卒業後に不満などを感じ相談に至るケースが多く、20歳代にはキャリアアップ、30代では転職希望などの支援要請の相談の割合が増加、40歳以上では辞意が多く見られた。「コミュニケーション支援領域」では、10代では友人や家族との間で、自身の障害特性を理解できないことなどから、他害をする等の相談が見られた。20代では友達や同僚、職員との間で、周囲の理解の不十分、環境変化の結果の対人トラブルも見られた。30代では、同僚や職員との間で、精神疾患、動作緩慢などによる関わり方の難しさがあった。40代以上は行動上の問題は減少するが、30代で見られた問題が継続した。「健康支援領域」では、10代までは、「精神面での不安定」「障害が受容できない」。20代では環境変化により「精神的・身体的な傷病」に発展、また「能力を発揮できない」場面も顕在化する。30代では安定するが、「加齢により発症する疾病」が現れ始める。40代以上になると、「退行期へと移行」「全身状況の老化」が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相談支援事業所への調査で、支援課題について明らかになった。 しかし支援課題の分析は進んでいるものの、支援内容については分析を進める必要がある。 理由として、支援課題の分析に時間がかかっていたこと、および支援内容の分析に時間がかかっていることがある。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究の推進方略として、 ①期:~7月までに、支援方法の分析を行う ②期:8~3月までに、プログラムの作成を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
支援課題についての分析に留まり、支援内容の分析に至らなかったため次年度使用額が生じた。 謝金:データ整理やデータ入力および解析のための謝金が必要である。また、本研究において最も独創的な内容である「支援プログラム」の「生涯発達支援システム」のモデル開発についての、研究協力者への謝金として使用予定である。 旅費:国内における日本特殊教育学会や発達障害学会で本研究の発表をし、本研究に関する研究者との意見交換を通して、研究を進める予定である。
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