研究課題/領域番号 |
17K04924
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高橋 智 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50183059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達障害 / 発達困難 / 非行少年 / 少年院 / 発達相談 / 発達支援 / スウェーデン / デンマーク |
研究実績の概要 |
①全国の保護観察所等職員(保護観察官・保護司・更生保護施設職員・自立準備ホーム職員)を対象とした訪問面接法調査(調査項目は少年鑑別所および少年院を出た後の発達に困難を抱える少年の困難とニーズ、更生保護施設入所中における困難と支援の現状、発達障害等の発達困難を有する少年の社会的自立等に向けた支援に関する今後の課題)を実施し、発達障害等の発達困難を有する非行少年の困難・ニーズとそれに対する各施設での対応や自立に向けた支援の現状を明らかにした。 ②法務省矯正局少年矯正課と調査内容の協議を行い、調査協定書・調査ガイドラインを作成し、茨城農芸学院、多摩少年院、神奈川医療少年院に在院する発達障害等の発達困難を有する非行少年を対象に、彼らの抱える発達困難や支援ニーズについて面接法調査を実施した。 ③発達障害等の発達困難を有する非行少年の発達支援・更生保護において先進的な取り組みを行っているスウェーデン・デンマーク・フィンランドの非行・犯罪に対する発達支援、地域移行支援・地域生活定着支援に関するシステム・取り組みについての調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の保護観察所等職員(保護観察官・保護司・更生保護施設職員・自立準備ホーム職員)を対象とした訪問面接法調査の結果、少年院に在院する発達障害等の発達困難を有する非行少年を対象に彼らの抱える発達困難や支援ニーズについての面接法調査の結果、およびスウェーデン・デンマーク・フィンランドの非行・犯罪に対する発達支援、地域移行支援・地域生活定着支援に関するシステム・取り組みについての調査の結果は、論文8件・報告書2件にまとめ、公刊した。
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今後の研究の推進方策 |
①少年院(支援教育課程Ⅲ)に在院する発達障害等の発達困難を有する非行少年を対象に、彼らの抱える発達困難や支援ニーズについて面接法調査を実施する。 ②矯正教育・更生保護を経験した発達障害等の発達困難を有する少年本人への発達支援・地域移行支援のニーズ調査を通して、少年本人が求めている少年鑑別所・少年院・保護観察所・更生保護施設における発達支援・地域移行支援の課題を明らかにする。調査内容・調査対象については「NPO法人セカンドチャンス!」(少年院出院者が経験と希望を分かち合い、仲間として共に成長することを目的とした自助団体)等の当事者団体・自助組織と協議を重ねた上で訪問面接法調査を実施する。 ③発達障害等の発達困難を有する非行少年の発達支援・更生保護において先進的な取り組みを行っているスウェーデン・デンマーク・フィンランドの非行・犯罪に対する発達支援、地域移行支援・地域生活定着支援に関するシステム・取り組みについての調査を実施する。 ④北欧スカンジナビア諸国の発達支援、地域移行・地域生活定着支援調査と、全国の少年鑑別所・少年院・保護観察所・更生保護施設における発達障害等の発達困難を有する非行少年に対する支援の実態調査、矯正教育・更生保護を経験した発達障害等の発達困難を有する少年本人への発達支援・地域移行支援のニーズ調査との比較検討を通して、矯正教育・更生保護において求められている発達障害等の発達困難を有する非行少年の発達支援、地域移行支援・地域生活定着支援のシステム構築の課題を明らかにしていく。あわせて今後の特別支援教育と矯正教育・保護更生の連携・協働のあり方について検討する。
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備考 |
1.髙橋智:少年非行・矯正教育機関における発達障害問題の実態と発達支援に関する調査研究②、『第48回2017三菱財団研究・事業報告書』、2018年7月。2.髙橋智・内藤千尋:『全国の保護観察所における発達障害等の発達上の課題・困難を有する非行少年の社会的自立・地域移行の実態と支援に関する調査研究報告書』、東京学芸大学総合教育科学系特別支援科学講座髙橋智研究室、全52頁、2019年1月。
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