点字の初期学習段階から読指運動を伴う点字指導法となる行たどり法を適用した1名の全盲・ASD児の触察に関して、初期指導後に在籍校の授業で行われていた指導を3つのタイミングで取り上げ、触読能力の獲得の様相を検討した。 学習開始3ヶ月後に各定位置に配置されたひらがな清音12文字の区別に基づくネームプレートの触察成功率は75.0%であり、1年後のランダムに配置されたひらがな清音14文字の区別に基づくネームプレートの触察成功率は92.9%であった。しかし、学習開始2年後の給食の献立メニューを触察する課題では、既出のメニュー名は素早くスムーズに触察することができたが、新出のメニュー名の触察にはかなり時間を要し、読指運動も上下のジグザグ運動が顕著に確認された。 これらのことから、全盲・ASD児の点字指導において読指運動を伴う行たどり法が有効であることとその理由について述べた。一方で、般化の困難性があることについても確認し、その理由の1つとして点字指導の視点を取り上げて議論した。
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