本研究は,盲ろう者による触手話の特徴を言語学的に解明するものである。①先行研究の文献的検討と②7名の居住地域の異なり,また経験の異なる盲ろう者の触手話による自然な対話資料を収集・分析をした。①では,触手話を通常の手話言語の一変種とみなす立場と新たな言語の創出とみなす立場があった。②では,まず触手話の分析的枠組みを検討した後,資料の分析を試みた。通常の手話言語の文法を触覚的に拡張している部分と視覚的な手話言語には見られない,独自の文法的な特徴の両者が見いだされた。ただ,盲ろう者自身による触感覚の分析が必要であることがわかったが,コロナ禍の影響により,さらなる検討はできなかった。
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