研究課題/領域番号 |
17K04937
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林田 真志 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (00467755)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 外国語教育 / ろう学校 |
研究実績の概要 |
言語活動に困難を示すことの多い聴覚障害児に対し,新たな外国語教育を効果的に展開するためには,従来の外国語活動を通じて蓄積されてきた実践的知見を活かしつつ,児童の実態や学習環境に応じたさらなる配慮や工夫が求められる。当初,本研究課題では,(1)聴覚障害特別支援学校(以下,ろう学校とする)で実施されている外国語活動の実態と課題の再整理,(2)「聞く」「話す」「読む」「書く」の各活動がバランスよく取り扱われた外国語活動の実践事例の集約と分析,(3)外国語教育と国語教育の連携に関する手立ての検討,(4)外国語教育実践ハンドブックの作成と配布,の4点について研究を進めることとしていた。 令和元年度は,平成29年3月に告示された新たな特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の内容,ならびに,聴覚障害児を対象とした外国語教育の新たな指導法や指導体制に関する実践報告(金田,2017; 石川,2017; 倉内,2017; 黒田,2017; 新出,2017; 白井,2017, 2018, 2019)等をふまえ,ろう学校小学部において外国語活動を担当している教員を対象とした質問紙調査を実施する予定であった。あわせて,「聞く」「話す」「読む」「書く」の各活動がバランスよく取り扱われた外国語活動の実践事例,ならびに,外国語教育と国語教育の連携に関する手立てについて,ろう学校10校を訪問して実地調査を実施する予定であった。 しかし,台風等の自然災害が相次いで生じたことにより,多くの学校が調査への協力が難しくなり,十分な調査データを蓄積することができなかった。そのため,研究期間を令和2年度まで延長したうえで,調査の方法を再度検討し,聴覚障害児に対する効果的な外国語教育に関する新たな知見を得ることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度は,平成29年3月に告示された新たな特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の内容,ならびに,聴覚障害児を対象とした外国語教育の新たな指導法や指導体制に関する実践報告等をふまえ,ろう学校小学部において外国語活動を担当している教員を対象とした質問紙調査を実施する予定であった。あわせて,「聞く」「話す」「読む」「書く」の各活動がバランスよく取り扱われた外国語活動の実践事例,ならびに,外国語教育と国語教育の連携に関する手立てについて,ろう学校10校を訪問して実地調査を実施する予定であった。 しかし,台風等の自然災害が相次いで生じたことにより,多くの学校が調査への協力が難しくなり,十分な調査データを蓄積することができなかった。そのため,研究期間を令和2年度まで延長したうえで,調査の方法を再度検討し,聴覚障害児に対する効果的な外国語教育に関する新たな知見を得ることとした。 現在は,令和元年度時点の質問紙調査で得られた結果を分析するとともに,令和2年度において実施予定のweb上でのアンケート調査およびインタビュー調査にむけて,機器の準備や実施体制の構築を進めている。また,令和元年度に調査を実施できなかった学校に対して,調査への協力を依頼する準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
わが国における新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針をふまえ,令和2年度における調査は,原則としてweb上で実施する。アンケート調査については,Microsoft Formsを利用して回答フォームの作成と回答結果の集計を行う。インタビュー調査については,Microsoft Teams等のweb会議システムを利用して行う。アンケート調査における回答結果の集計,ならびに,web会議システムの利用にあたっては,個人情報保護を含め情報セキュリティを遵守する。令和2年度上半期にアンケート調査を実施するとともに,令和元年度に実施した質問紙調査の結果とあわせて集計する。アンケート調査と並行しながら,「聞く」「話す」「読む」「書く」の各活動がバランスよく取り扱われた外国語活動および外国語科の学習活動を実践しているろう学校小学部の教員に対し,インタビュー調査を行う。令和2年度下半期には,アンケート調査とインタビュー調査の結果をふまえ,ろう学校小学部段階での効果的な外国語教育に関する実践事例ハンドブックを試作する。可能であれば,令和2年度内に,小学部を設置している全国のろう学校宛てに,完成したハンドブックを電子媒体で配布する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は調査の結果を集計するにあたり,作業補助要員3名に対して支払う謝金を計上していたが,令和元年度に十分な調査データを得ることができなかったため,人件費・謝金を執行するに至らなかった。研究期間を令和2年度まで延長したが,令和2年度の調査はすべてweb上で実施するため,インタビュー調査の逐語録作成やハンドブック作成に従事する作業補助員をアルバイト雇用し,人件費・謝金を執行する予定である。
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