特別支援学校(聴覚障害)小学部において外国語教育(外国語活動・外国語)を担当する教員のべ17名を対象として,オンライン上でアンケート調査及びインタビュー調査を実施した。在籍児童の実態として,(1)児童の聞こえや発音の実態が多様であること,(2)「聞く」活動や「話す」活動に対する抵抗感の少ない人工内耳装用児が増加傾向にあること,(3)日本語の語彙力が外国語を伴う学習活動の達成度にも影響を及ぼしていること,等が報告された。外国語教育を実践する上で重視していることとして,(1)視聴覚教材(テキストや補助教材,文字カード,絵カード,スクリプト,掲示物,口腔模型)を多く活用すること,(2)英単語の発音を求める際は各単語に読み仮名を付与すること,(3)手拍子や図を活用しながら英語がもつリズムやアクセントに気づかせること,(4)ALTと直接コミュニケーションをとる機会を設定すること,(5)必然性を伴った言語活動を設定すること,(6)成功体験を蓄積させること,等が挙げられた。学習活動の内容として,(1)自己紹介や他己紹介,(2)食事のメニューの説明,(3)国内外の祝日・行事や文化の紹介,(4)チャンツや歌唱,(5)他者へのインタビュー,(6)ゲーム(ビンゴゲーム,すごろく,クイズ,トランプゲーム),(7)アルファベットやローマ字の学習,等が挙げられた。他の教科等との連携内容として,(1)語彙の定着や拡張(国語,自立活動),(2)地域や文化(社会,総合的な学習の時間),(3)リズムや歌唱(音楽),(4)発音発語やコミュニケーション(自立活動),等が挙げられた。指導上の課題として,(1)仮名による表記が難しい発音の代替的な表現方法,(2)個別指導と集団指導における学習内容の設定や差別化,(3)外国語の日常生活への定着化,(4)中学部以降の外国語との接続,等が指摘された。
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