研究課題/領域番号 |
17K04941
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
見上 昌睦 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30279591)
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研究分担者 |
氏平 明 大阪信愛学院短期大学, その他部局等, 研究員 (10334012)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 吃音 / 幼児 / 非流暢性 / 発話 / 構音(調音) / 言語学 / 言語獲得 / 有標 |
研究実績の概要 |
吃音(発達性吃音)は主として2歳~4歳代に発症する発話の流暢性の障害である。近年、この時期に吃音を発症しても80~90%程度はおおよそ3、4年以内に治癒(多くは自然治癒)するという報告がある。言語獲得期にある幼児の発話の非流暢性が吃音であるか非吃音であるかの鑑別診断については、十分調べられていない。 本研究では、日本語話者の幼児の自然な発話と会話の録音調査を実施し、幼児の発音と発話の言語学的側面を記述することとした。そして、言語発達の様相も踏まえ、幼児の発話の非流暢性が吃音であるか非吃音であるかの鑑別診断に生かすための基礎資料を得ることを目的とした。 2021年度については、吃音の家族歴のある日本語話者の5歳6ヵ月、6歳0ヵ月の幼児2名(全て男児)の発話サンプルを収集し、音韻論的な分析を行った。5歳6ヵ月の幼児は言い始めの母音(例「あった」)で発声が数秒間停止した。吃的非流暢性ではなく有標の語頭母音の声立てでつまったと解釈した。6歳0ヵ月の幼児は構音の誤りとして置換(tako→tato)がみられた。有標の[+舌背性(dorsal)]が無標の[+舌頂性(anterior)]への置換であり言語獲得過程の誤りと解釈した。 今後も幼児の発話サンプルにおける非流暢性の生起について、言語学・音声学的な分析を進め、吃音と診断される可能性のある幼児を増やして精査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
吃音と診断される可能性のある幼児を含めて、幼児の発話サンプルにおける非流暢性の生起について、言語学・音声学的な分析を進めた。新型コロナウイルス(COVID-19)に係り幼児の発話サンプルの十分な収集を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
吃音と診断される可能性のある幼児の発話サンプルを増やすことの困難さが継続した場合、2021年度に調査した幼児の縦断的調査や事例研究としての研究の遂行を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
幼児の発話サンプルの収集が新型コロナウイルス(COVID-19)に係り、十分に行えなかった。 次年度使用額については、統計解析ソフトウェア等の物品費、研究代表者と研究分担者との研究打ち合わせ及び調査のための旅費等としての使用を計画している。
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