研究課題/領域番号 |
17K04951
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
上出 香波 明星大学, 教育学部, 准教授 (80757427)
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研究分担者 |
林 典子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (00620444)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療保育 / 病棟保育 / 保育士 / 医療保育専門士 / 保育の質 / 入院児のQOL / チーム医療 / 自己評価 |
研究実績の概要 |
2021年度は,2020年度までに2回実施した全国の医療機関の小児病棟保育士へのアンケート調査の集計結果から分析をおこなった.アンケート結果は,2年間で顕著な変化があまりみられなかった.しかし,変化があまりみられなかったことは実態を把握するうえで正確な病棟保育の現状の結果が得られたといえる.調査結果の内容は,現状を反映する正確な基礎データになるものとなった.その中で,多少であるが変化したこと,変化がないことにより着目する必要があると思われた項目はあった.病棟保育のキャリアとしては,2年間であまり変化はないと言えるが,直属の上司が保育士との回答の増加,病棟の保育業務マニュアルの存在の増加,多職種とのカンファレンスへの参加率の増加が認められた一方で,日常業務でベッドメイキングや配膳など補助業務と思われる項目が微減し,仕事を通した自己肯定感が微増していたことから,医療の現場においての保育の位置づけが定着しつつある病棟も増えつつあるのではないかと思われた.しかし,看護師と協働できていると考える人が微減し,医療・看護に関する勉強会への参加が減っていたことから,他職種との協働や相互理解につながる取り組みについては十分に進展していない現状が窺えた.加えて,保育計画を立てる必要はないとする回答が増えていた点,また,自己評価チェックリストで保育の意図をわかりやすく伝えられている人が少ない点については,病棟保育に関するアドバイスをいただく助言者や指導者が周囲におらず,保育の質を担保するための機会が不足している現状が想定された.この点については,背景となる要因の追究も含め改善に向けて課題の明確化が必要であると考えられた.これらの結果から,項目ごとによる関連付けをおこない詳細に分析を重ねていくことを今後予定している.調査結果と分析内容については,学会誌に投稿し掲載された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画に基づき,2回のアンケート結果の集計後,分析をおこなった.しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,その後の詳細な項目ごとの解析および分析に遅れが生じている
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,インタビューとアンケート調査による質的研究と量的研究を統合した解析結果,分析を基に,病棟保育の質に関する自己評価表の妥当性の検証をおこなう.検証結果から評価表の改良をおこない,入院児とその家族のQOLの向上に繋がる医療保育の質を担保するための評価表を構築する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,研究への遅れが生じアンケート調査の詳細な解析・分析が残っている.そのため,データ解析に必要とされていた予定金額に差額は生じている.2021年度データ整理及び解析,必要時の追調査をおこなうために使用予定であった予算額を2022年度に繰り越し,使用する計画としている.
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