研究実績の概要 |
2021年度までに実施した2回にわたる全国の医療機関の小児病棟保育士へのアンケート調査の集計結果および病棟の保育士インタビュー調査の結果を基に,量的・質的研究の結果を統合し分析をおこなった.分析結果から病棟保育に関する正確な基礎データとともに,課題が抽出された.小児病棟に勤務する保育士は,医療現場という特殊な環境下で保育を行い,また稀少職種であるために医療保育という専門領域であることから保育内容等,様々な基準がわかりにくく,保育士が自分自身の保育に対して適切であるのか不安も抱えていた.病棟保育という専門的な領域であるために,客観的な評価を受けることも殆どない現状も明らかになった.これまでの分析結果から本研究の目的の一つであった独自に作成した病棟保育に特化した自己評価表を小児病棟に保育士が勤務している各医療機関に周知する必要性は明確となった.作成した自己評価表を使用し,病棟の保育士自身が定期的に自己評価をおこない,全国の病棟の保育士のアンケート結果から得られた評価基準値と照らし合わせ比較することが可能となるように基準値表を作成した.稀少職種においても,評価表と基準値表の比較を基に定期的に自己を振り返ることで保育の質の担保に繋がると考えられた.医療チームの中で,入院している子どもとその家族へより良い保育の提供を目的に.全国の小児病棟の保育士へ,改めて完成版として本研究で独自に作成した「病棟保育の自己評価表」とともに報告書を送付し,今後の病棟保育の発展のために寄与した.
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