研究課題/領域番号 |
17K04954
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
船津 敬弘 昭和大学, 歯学部, 教授 (50337169)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 障害者歯科診療 / 行動調整法 / ノイズキャンセリング技術 |
研究実績の概要 |
歯科特有の治療音を,ノイズキャンセリング技術を応用するクワイエットコントロールにより減音し,行動変容を促し,極度の恐怖症やパニック障害,自閉症スペクトラム障害等の患者においても歯科での治療受け入れが可能となることを本研究の目的としている. そこで,歯科治療時の歯科用切削器具により発せられる「音」が与える精神的影響を客観的に評価するために術前および仮想歯科治療状態およびクワイエットコントロール下での仮想歯科治療状態での脳波および唾液中αアミラーゼを測定し比較する.ノイズキャンセル量はコントロールできる段階すべてにおいて同様の測定を行う.なお,口腔内で歯科用切削器具を刃部を付けずに回転させることで仮想歯科治療状態とする.29年度に成人男性の測定を行うことが当初の計画であった.対象は歯科治療経験のある成人で,問診にて「歯医者は苦手」もしくは「歯科にはできるだけかかりたくない」と答えた者とし,全身疾患等のない全身状態に問題のない健常者と設定した. 実際の計測に入る前に,当初使用を計画していた脳波計を借用し予備実験としての脳波計測を数名に行った.安定した開眼での測定が可能とのことであったが,予想以上にアーチファクト・ノイズが混入し,また,微小な動きにおいてもアーチファクト・ノイズが一定頻度でみられたことから,本研究に使用するには性能的に疑問を呈する仕様と感じられた.そこで,新たに使用する脳波計の選定を行い,動きの制約を受けないコードレスの脳波測定器を採用することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波という非常に繊細な周波数を扱うため,初年度は使用予定機器による予備実験および機器の再選定に時間を費やしたため,やや遅れた状況となっている.予備実験では当初予定した脳波計を用いて成人10名の脳波を測定した.開眼での測定ではかなりのアーチファクト・ノイズが検出された.センサーを後頭部に設定したが,眼球の動きおよび視覚情報による影響も考えられた.また有線により,動きが制約されたこともストレス負荷として考えられ,再度脳波計の選定および実験の設定条件の考察に時間を費やしたことが現在の進行状況の原因と考えている. 本研究の客観的判断に重要な脳波計の要件が固まったことは今後の研究進行に向けてむしろプラスであるととらえている.今後は当初の研究計画に則り,歯科用切削器具により発せられる「音」が与える精神的影響を脳波,唾液中のαアミラーゼ分析により解析し,ノイズキャンセリングを用いた新しい行動調整法の開発に繋げていきたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
歯科治療時の歯科用切削器具により発せられる「音」が与える精神的影響を客観的に評価するために術前および仮想歯科治療状態およびクワイエットコントロール下(QCHP装着下)での仮想歯科治療状態での脳波および唾液中αアミラーゼを測定し比較する.ノイズキャンセル量はコントロールできる12段階すべてにおいて同様の測定を行う.なお,口腔内で歯科用切削器具を刃部を付けずに回転させることで仮想歯科治療状態とする.対象は歯科治療経験のある成人で,問診にて「歯医者は苦手」もしくは「歯科にはできるだけかかりたくない」と答えた者とする.対象者は全身疾患等のない全身状態に問題のない健常者とする.研究の進行がやや遅れていることを考慮して,計測対象者は年度で男女別とせず,測定可能な対象者から随時測定を行い,デ-タ収集を進めていく.31年度に得られたデータを分析し,ノイズキャンセル量の違いによる診療中の「音」の精神的影響を立証し,クワイエットコントロールによる行動調整のトレーニング内容を決定する.なお本研究の脳波測定に際し,研究代表者の所属する昭和大学歯学部障害者歯科学部門の医局員3名の協力を仰ぐ予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の要である脳波計の実際の感度や性能の確認のため,借用(無償)にて当初予定した機器を用い予備実験を成人10名に行った.その結果,安定した開眼での測定が可能とのことであったが,予想以上にアーチファクト・ノイズが混入し,また,微小な動きにおいてもアーチファクト・ノイズが一定頻度でみられたことから,本研究に使用するには性能的に疑問を呈する仕様と感じられた.そこで,新たに使用する脳波計の選定を行い,動きの制約を受けないコードレスの脳波測定器を採用することとした. 機器の選択が遅れたため,当該年度に購入予定であった金額が次年度に繰り越しという形となったが,計画は対象被検者の男女を,区別せずにデ-タ収集を行うこととしたため,進捗の遅れは期間内で十分回復できると予測している.
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