研究課題/領域番号 |
17K04962
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
塩見 将志 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (60711215)
|
研究分担者 |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00296188)
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (20531635)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 吃音 / 社交不安障害 / 訓練効果 / 予後 |
研究実績の概要 |
重症化した吃音の背景要因や評価法、さらには訓練法を考える際には感情・情動の問題を考慮する必要があり、吃音が治癒しないまま成長する際に認められる問題の1つとしては、社交不安障害の発症があげられる。そこで本研究では、吃音者の持つ様々な場面に対する「恐れ」についてもアプローチする自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(retrospective approach to spontaneous speech:以下 RASS と略す)を対象者全員に実施し、訓練前から訓練開始後の社交不安障害検査得点の変化を指標にしてその効果と予後に関連する因子についての検討を行っている。 対象者は、吃音者のうち社交不安障害障害検査でカットオフポイント以上の値を示した18名である。 吃音者が持つ社交不安に対するRASSの効果については、対象者18名のうち訓練後にカットオフポイント以下となったのは14名でその率は0.805(1人年あたり)であった。このことからRASSは吃音者が持つ社交不安の問題に対する有効な訓練法の1つであると考えられた。 吃音者の社交不安障害検査得点の改善に関連する因子については、初診時の特性(性差、初診時年齢、初診時の重症度)と社交不安障害検査得点の改善の有無との関連をログランク検定で検討した。ログランク検定の結果では、有意差は認められなかったが、初診時の重症度が軽症~中等症の群ではRASS実施後にカットオフポイント以下となる率は0.719(1人年あたり)である一方で、重症~最重症の群では0.333(1人年あたり)であったことから、今後対象者を増やすことで初診時の重症度が予後に関連する因子と成り得ることが考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者数を増やすとともにより長い観察期間での分析を行う予定だが、COVID-19の影響によりデータ収集が滞っている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、吃音者の社交不安障害検査得点の改善に関連する因子については、初診時の重症度が予後に関連する因子と成り得ることが考えられた。そして今後は、対象者数を増やすとともにより長い観察期間での分析を行い、予後に関連する因子を再検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に対象者数を増やすとともにより長い観察期間での調査結果を分析する予定であったが、COVID-19の影響によりデータ収集が行えなかったことで、次年度使用額が生じた。このため2021年度にデータ収集と論文投稿を行うこととし、次年度使用額はその経費に充てることを予定している。
|