研究課題/領域番号 |
17K04968
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研究機関 | 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 |
研究代表者 |
若林 上総 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 主任研究員 (10756000)
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研究分担者 |
加藤 哲文 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90224518)
遠藤 愛 星美学園短期大学, 幼児保育学科, 准教授 (80641745)
神山 努 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 研修事業部, 研究員 (50632709)
半田 健 宮崎大学, 教育学部, 講師 (90756008)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 介入整合性の向上 / 研修会実施 / 実施状況のフィードバック / コーディネーターのかかわり / ユーザビリティ評価の検討 |
研究実績の概要 |
特別支援教育コーディネーターの機能を高める実践の枠組について、幼稚園1園、小学校1校、中学校1校、高等学校1校、特別支援学校1校との協議を継続した。このうち、中学校1校、高等学校1校については、所属機関での倫理審査を経て、実践研究に着手した。 中学校での実践研究は、特別支援学級で指導に当たる全教職員の協力を得て、学級全体で育てたい行動を具体的に項目化し、それらを標的に適切な行動が生起したときにトークンを付与し、強化するという指導を展開した。介入整合性を高める手立てとしては、研修会の実施、実施状況のデータのフィードバックといった方策を特別支援教育コーディネーターが扱った。効果評価に用いた尺度の得点からは指導の介入整合性が高まり、生徒指導件数の記録の結果等からは、生徒の適切行動の生起頻度も高まることが検証された。また、この介入によって不適切行動が十分に改善されなかった生徒1名が確認されたが、個別の支援を計画し、実施した結果、当該生徒の適切行動の自発頻度が高まった。 高等学校での実践研究は、学校全体で授業準備行動の改善のための介入を行った。手立ては、全3回の授業計画でSSTを行い、習得した行動を各授業の冒頭で強化するというものだった。研修会の実施、実施状況のデータのフィードバックに加え、特別支援教育コーディネーターが実施状況を把握し、実施の滞りのある教員に対して細かく声かけすることで介入整合性を高め、生徒の適切行動の生起頻度も高まった。 研究発表については、それぞれの実践研究の効果指標として用いた生徒指導件数を記録するためのアプリケーションのユーザビリティ評価に関する発表を行った。また、前年度に実施したインタビュー調査の結果をまとめ、International Conference on Positive Behavior Supportでも発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者の協働の結果、幼稚園1園、小学校1校、中学校1校、高等学校1校、特別支援学校1校のそれぞれと実践上の課題について協議を継続することができた。このうち、中学校1校、高等学校1校では実践研究に着手し、生徒指導件数の記録や、介入整合性を測定する尺度の得点結果を踏まえ、コーディネーターの取組が教員の指導行動や生徒の変容に影響を与えていることを実証的に検証している。協議を継続してきた幼稚園、小学校、特別支援学校についても、実践研究の実施を展望したかかわりが継続される見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
協力を得る各学校の指導上の課題をどのように切り出していくかということは、今後も研究上の課題となりうる。これについては、先行して実践を行っている中学校1校、高等学校1校の進め方を参考とすることができる。特に検証方法として導入している、生徒指導件数を記録するためのアプリケーションや、介入整合性を測定する尺度等を、他校で導入することで、効果の検証を実証的に進められることが考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者1名が産休、育休を取得したため、一部研究費の執行を持ち越した。また、研究協力機関への訪問回数が計画よりも少なくなった。以上の結果、次年度の使用額が生じている。 分担者は、今年度4月より復職していることから、次年度使用額の一部は、分担者の研究活動を継続するための予算とする。また、今後の研究活動の実施に当たって、研究協力機関が1校増えたことから、当該校への訪問の費用としても執行する。加えて、ここまでの研究成果を発信する目的で参加する学会等への参加費などに充て、研究成果の普及に努めることとする。
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