研究課題/領域番号 |
17K04978
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
合田 義弘 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (50506730)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 界面マルチフェロイクス |
研究実績の概要 |
重元素を含む磁性ナノ界面、具体的にはbcc FeとBiFeO3(BFO)の(001)界面に対し、スパコンを用いた大規模第一原理計算により構造サンプリングを行った。計算資源としては、主に東工大TSUBAMEを用いた。格子ミスマッチの少ない格子整合界面のスーパーセルをモデル化し、界面の積層終端面および界面での相対的な積層原子配置を同定した。その結果、BFOのブリッジサイトにbcc Feの原子が積層する配置が安定となった。これはBFOの電気分極が上向き・下向きいずれの方向に向いている場合でも成立していた。また、BiO終端面においては電気分極が上向きと下向きの場合のエネルギー差が小さく、電気分極の志向性がないため、電界により電気分極と磁化をコントロールするのに適した界面である事が分かった。BiO終端面が露出するためには、酸素不足の結晶成長条件が必要である事も明らかにした。 さらに、同定した界面構造に対し3次元的なnon-collinearスピン配置も検討しどの様なスピン物性を示すかに関しても精査した。まず、BFOのバルクで、スピン軌道相互作用を取り入れた第一原理non-collinear計算を行った結果、Dzyaloshinskii-Moriya 相互作用に基づく反強磁性スピンの傾きに由来する磁気モーメントが得られ、その結果は実験と一致する事が分かった。また、界面における磁気モーメントの分布を計算した。磁気異方性エネルギーを計算し、特に本マルチフェロイク界面においては再安定な磁気モーメント分布を完全に反転させた際エネルギーが上昇する事を明らかにした。これは界面平行方向の空間反転対称性の破れに由来する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、界面の構造同定を行い、磁気特性を精査した。
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今後の研究の推進方策 |
界面の磁気構造を引き続き検討する。磁気異方性エネルギーの評価を原子サイト毎に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を計画していたハイパフォーマンスコンピューターは別予算で購入したものを活用する事が出来る様になったため、当該経費を旅費として充当する事が研究推進に最も効率的と判断した。また、学会発表および情報収集のために当該年度予算に計上していた旅費は当該年度よりも次年度に執行する方が効率的と考え、大部分は執行しなかったため次年度使用額が生じた。次年度は次年度使用額と翌年度分として請求した助成金と合わせて、国際会議参加のための旅費として主に執行する計画である。
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